はじめに
こんにちは、島田(つぶやきはこちら)です。
院長報酬をなんとなく決めてしまい、生活費や事業資金のバランスに悩むことはありませんか?
特に個人医院は難しい課題ですよね。
なぜなら医療法人と違い、毎月定額の院長報酬は決まっていないからです。
今日はこの課題を解決するために、個人医院でも院長報酬を予算化する方法とメリットをお伝えします。
動画でサクッと概要を知りたい方はこちらから視聴しただければと思います。
院長報酬を予算化するメリット
① 院長の生活費が不足する危険がなくなる
個人医院では、基本的に利益の使い道に他人の承認や法的な制限がありません。
それもあり、事業資金と院長自身の生活費は密接に関連しています。
密接どころか、実態は医院のお金と院長先生の生活資金の財布は一緒の状態というのがほとんどかと。
なので医院の資金繰りが苦しくなれば生活資金からお金を出さざるを得なくなりますし、逆もまた然りです。
つまり医院の資金繰りは生活費まで考慮する必要があります。
その過程で必要なのが院長報酬の予算化です。
予算化することで、生活資金が不足しないように医院のキャッシュフローを考えることが可能になり、安定した生活を送ることができます。
これの具体的な方法論は後段で詳しく解説します。
② 設備投資や採用に充てる資金を確保できる
院長報酬を過剰にとってしまうと、医院の成長に必要な設備投資や人材採用に十分な資金が回らなくなる危険があります。
例えば、チェアやマイクロスコープなどの高価な設備や優秀な衛生士さんの採用費です。
これらの支出は大きな金額ですが、タイミングが肝心な投資でもあります。
衛生士さんの採用なんかまさにそうで。
採用が必要になるきっかけは、産休やパートナーの転勤といった理由が多く、予測しようにもできません。
そしてそのしわ寄せは院長先生含め他の人にいくことになります。
そのしわを既存のマンパワーで吸収できないのであれば、チェアの稼働率は下がることになるので自動的に売上も下がってしまうことに。
だからこそ、いざというときに採用費に充てられる資金繰りの状態が必要だということです(お金を使わずに採用する方法もありますが)。
その状態を満たすための条件が院長報酬を予算化です。
③ 税金の予測が立てやすくなる
個人医院であれば院長報酬は利益とほぼ同義です。
で、税金は利益に税率をかけて計算されるので、院長報酬を考えることは税金をいくら払うのかを予測することに直結します。
つまり院長報酬を予算化すると、毎年の納付タイミングや金額を予測できるようになるということです。
結果、医院と生活資金両方の資金繰りが安定します。
院長報酬の予算化方法
生活費の見える化
ここまで院長報酬を予算化するメリットをお伝えしたので、最後にその具体的な方法についてお伝えします。
院長報酬は生活資金の原資なので、まずは院長の生活費を把握することからはじめましょう。
網羅的に把握するために、毎月の生活費を次の3つに分けて考えてみてください。
- 最低限必要な日常生活費:
毎月の生活に必要な費用です。
食費、光熱費、家賃など、必須の支出項目をリストアップしましょう。 - 生活を豊かにする娯楽費:
趣味や娯楽、旅行など、生活を豊かにするための費用です。
これらを無視すると、仕事とプライベートのバランスが取れない非現実的な生活を送ることになるので、高価なものも漏らさないようにピックアップしましょう。 - 将来に向けた貯蓄や投資:
老後のための貯蓄や運用のための投資額です。
長期的な視野で経済的安定を図るためのお金も大切です。
これらの合計額を予算化し、毎月の院長報酬として設定することで、計画的かつ安定した医院経営と生活を実現することができます。
院長報酬の予算化から損益計画へ
繰り返しになりますが、院長報酬は生活資金の原資であり、個人医院の場合、その出所は医院の利益です。
ただ、医院の利益からは生活資金だけではなく、税金や社会保険料、そして金融機関への返済も出ていきます。
なのでキャッシュフローがプラスになるための医院の損益計画は、これらも考慮しながら立てている必要があります。
つまり、お金の使い道を起点にして、利益そして売上へ遡るとこのような図の関係になります。
ここでお伝えしたいポイントは、左側の一部である生活資金を把握していないと、適切な利益目標や売上目標は設定できないということです。
だからこそ生活費を見える化したうえで、それを賄う金額を院長報酬として予算化する意義があります。
まとめ
院長報酬を適切に予算化することは、医院経営と生活資金の安定に大いに寄与します。
生活費の不足の回避、設備投資や人材採用の資金の確保、税金の予測が立てやすくなることで、医院経営がスムーズに進むようになるからです。
ぜひ、今回紹介した方法を参考にして実践してみてください。