こんにちは、島田(つぶやきはこちら)です。
歯科医院、特に予防型歯科医院はリコール率(再来院率)を気にしているはずです。
リコール率が上がれば上がるほど、患者さんの健康寿命の延伸にもつながるので重要な指標になるのは言うまでもなく。
でも、歯科医療の構造的にリコール率は上げやすいのです。
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上のThreadsの投稿では具体的なコミュニケーション術の話をしていますが、もっと根本からリコール率が上げるロジックを考える必要があります。
ノウハウだけがあったとて、ベースにある流れを理解できていないと意味がないので。
患者さんが定期的に来院して下さるようになるまでのステップは以下のとおりです。
- 患者と信頼関係を作る
- 患者に情報提供する
- 患者の行動変容を起こす
- 患者に効果を実感させる
ここからは、それぞれのステップを詳しく話していきます。
❶患者と信頼関係を作る
予防型歯科医院は患者さんの定期来院を促す必要がありますよね。
そのためには患者さんに「また来たい」もしくは「また来ても良い」と思ってもらうことが条件になります。
で、こういった感情になるということは、医院というより院長先生や衛生士さん個人に対して「あなただから」診てほしいと思っているということです。
要は医療技術はもちろんですが、人として好きになってもらう工夫が必要になってきます(もちろん医療技術は大切です)。
一言でいえば「信頼」です。
その感情を抱いてもらうためにはどうしたらいいか。
結論をいうと、「自分のことをわかってくれている」「理解しようとしてくれている」という感情を芽生えさせれば勝ちです。
そのためには、患者さんの現在の症状を聞くのも大切ですが、過去と未来を掘り下げる必要があります。
具体的にどうしたらいいか。
患者さんとの会話で聞くべきポイントは2つです。
- どんな不都合があったのか(過去)
- 治療してどうなりたいのか、何ができるようになりたいのか(未来)
シンプルな例だと、「孫に口が臭いって言われて、遊んでいてもギュッとできないのが悲しいんですよ(過去)」、だから「口臭をなくして、目一杯抱っこしたいんです(未来)」というような会話を引き出す、ということです。
こういったエピソードを聞いておけば、定期メンテナンス時の雑談のネタにもなります。
ぜひ、患者さんの過去と未来を探る質問を投げかけてみてください。
❷患者に情報提供する
ここでいう情報提供とは、患者さんの健康やセルフケアに役立つ情報の提供を意味します。
その目的は次の❸でお話しする、患者さんの行動変容を起こすことです。
この行動変容を起こすためには、院外の生活に目を向ける必要があります。
医療従事者ではない僕が言うと釈迦に説法になってしますが、患者さんは院内で過ごすより院外で過ごす時間のほうが圧倒的に長いですよね。
そしてその院外で過ごす時間に正しい歯磨きができるかどうかが、予防に直結するはずです。
で、患者さんは自分の体のこととはいえ、医療の素人なので難しい単語を浴びせられても理解できません。
また情報の中身も、面倒臭すぎて”やらずじまい”、にならないように気をつける必要があります。
そのためには、提供する情報に次のような要素が備わっているといいかと。
- 難解な用語がなく、一般的な言葉やビジュアルで理解できること
- 今日からやりたい、と思えるベイビーステップ型の情報であること
ぜひ、健診や検査の結果を渡す際は、上記の要素を満たす資料やツールを使用していただければと思います。
❸患者の行動変容を起こす
行動変容とは、文字どおりあることをきっかけに行動が変わることです。
歯科医院なら、患者さんが今までしたことがなかったフロスを、ドクターや歯科衛生士さんの情報提供によって毎日するようになる、そういったことです。
ただ、先ほども言ったとおり、一旦帰ってしまった患者さんはその後日常生活を院外で過ごすので、いかに提供した情報が大切なことか思い出してもらう必要があります。
じゃないと、すぐにセルフケアを辞めてしまうので。
だからこそ❷の情報提供でお伝えした2つの要素が備わっている必要があるのです。
そして、可能であれば(むしろこれからはマストかと思いますが)SNSを活用してみてください。
その理由はこのThreadsの投稿に書いています。
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今なら、Instagramで健康維持に役立つ情報を発信しつつ、通知機能がある公式LINE等で再来院や予約を促すのがもっとも効果的かと。
Instagramをお勧めするのは、画像だけではなく動画も配信でき、稼働ユーザーも多いからです(執筆現在の状況ですが)。
ただ、バズや再生回数の狙うのは悪手なので、その点はこちらの記事を参考に運用していただければと。
❹患者に効果を実感させる
ここまでくれば説明は不要ですが、定期メンテナンスの効果が実感できれば、また来ようという気になれますよね。
注意したいのは、ただポケット深さや出血率の変化だけを伝えて終わりにしない、ということです。
そうではなく、それらの数値が改善したことで、患者さん個人にとってどんなメリットがあるのかということを改めて認識してもらいましょう。
だからこそ、❶の患者さんの過去や未来をしっかりとカルテに残しておくことがポイントになります。
結局人は商品サービスの機能で満足するのではなく、その商品サービスが自分に与える影響が素晴らしいかどうかで満足する生き物なんですよね。
そこまで患者さんと医院とが共有できていれば、患者さんが他の医院に浮気する可能性を限りなく抑えることができます。
結果的に患者さんのお口の健康が保たれ、医業収益も安定し、患者と医院が両方健康な状態になります。