勤務医から歯科開業へ|退職月で変わる住民税と資金対策

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こんにちは、島田(つぶやきはこちら)です。

歯科医院を開業するとき、見落とされがちな支出のひとつが住民税です。

勤務医時代は給与から天引きされていたので、あまり意識する機会がなかったかもしれません。でも、退職して開業すると、住民税の支払い方が大きく変わります。

結論を先にお伝えすると、退職する月によって開業前後の資金繰りへの影響がけっこう変わってきます。

今回は、退職月ごとに住民税の支払いがどう変わるのか、開業前に押さえておきたいポイントを整理してみたいと思います。

目次

まずは住民税の基本ルール

住民税は、前年(1月から12月)の所得をもとに市区町村が計算します。毎年5月頃に金額が決まり、6月から翌年5月までの12か月で徴収されます。

勤務医のときは、毎月の給与から12分の1ずつ天引きされる特別徴収が基本です。職場が代わりに納付してくれるので、基本的に自分で納付する必要はありません。

ところが、開業して個人事業主になると、特別徴収の仕組みから外れて普通徴収になります。普通徴収は6月、8月、10月、1月の計4回に分けて納税します。

退職時期ごとの住民税の納付時期

ケース①:1月〜5月に退職する場合

1月から5月の間に退職する場合は、退職時の最終給与から、5月分までの住民税の残額が一括徴収されます。これは本人の希望に関係なく、強制的に行われます。

たとえば3月末に退職する場合、4月分と5月分の住民税が、3月の最終給与から一気に引かれます。月々の住民税が8万円だとしたら、最終給与から16万円が天引きされる計算です。

開業直前の段階で、最後の給与の手取りが想定より少なくなるので、ここは注意が必要です。「最後のひと月分はしっかりもらえるはず」と思って家計含めて資金計画を立てていると、ちょっと狂います。

さらに気をつけたいのが、6月以降の新年度分です。

退職した翌月の6月からは、新年度の住民税が始まります。この新年度分は、退職前の年の所得、つまり「勤務医としてフルに働いていた1年分」の所得をもとに計算されています。

この新年度分は、職場経由の天引きができないので、自宅に納付書が届く「普通徴収」に切り替わります。年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて自分で納付する仕組みです。

たとえば、勤務医時代の年収が1,500万円、課税所得が1,000万円だったとします。住民税の所得割は課税所得の約10%が目安なので、年間でおおよそ100万円になります。これを4回に分けるので、1回あたり25万円前後の納付書が、開業初年度の6月から自宅に届くわけです。

開業直後の医院で、年4回25万円のキャッシュをひねり出すのは、なかなかインパクトが大きいのではないでしょうか。

ケース②:6月〜12月に退職する場合

6月から12月の間に退職する場合は、原則として普通徴収に自動的に切り替わります。退職した翌月以降の残額分について、市区町村から自宅に納付書が届くようになります。

ただし、希望すれば退職時の最終給与から残額を一括徴収してもらうことも可能です。たとえば9月末に退職する場合、10月から翌年5月までの8か月分を、9月の最終給与から一気に引いてもらう、という選択ができます。

ここで悩むのが、「最終給与で一括徴収」と「普通徴収で分割」のどちらを選ぶかです。

資金繰りの観点で言うと、僕は普通徴収への切り替えをおすすめすることが多いです。

一括徴収を選ぶと、翌5月分までの住民税がまとまって出ていくことになります。月8万円の住民税で、9月末退職で8か月分の残額があれば、64万円が最終給与から引かれる計算です(引ききれない場合は普通徴収)。

開業準備で何かとお金がかかる時期に、最後の給与の手取りが大幅に減ると家計に響く場合もあります。

普通徴収にしておけば、残額を分割で納付していけるので、キャッシュアウトが分散されます。開業直後の資金繰りを考えると、こちらの方が無理がないことが多いです。

ただし、これは「分けて払えるからラク」というだけで、支払う総額が減るわけではありません。

対策:開業時の収支計画に住民税を最初から織り込む

ここまで読んでいただいて、退職月によって住民税の支払い方が大きく変わることがおわかりいただけたかと思います。

ですので、退職月から逆算して、住民税のキャッシュアウトを資金繰り表に組み込んでおくことがキーポイントになってきます。

退職直前の年の源泉徴収票を見れば、課税所得のおおよその金額がわかります。そこに10%をかければ、年間の住民税の見込み額が出てきます。あとは退職月に応じて、いつ・いくら出ていくかを月別に並べるだけです。

この一手間を加えるだけで、収支計画は変わってきます。日本政策金融公庫や民間金融機関に申し込むときも、こうした見通しが資金計画に反映されていると、金額の根拠がはっきりして説得力が増します。

ここで上半期(1月から6月)に開業する先生に一点だけ補足させてください。
住民税と同じく開業一年目に気をつけていただきたいのが、源泉所得税の納期特例です。

スタッフを雇用すると、毎月の給与から源泉所得税を預かることになります。が、「源泉所得税の納期の特例」の承認を受けていれば、1月から6月までに預かった源泉所得税を、7月10日までにまとめて納付することになります。

上半期に開業して納期特例の承認を受けた先生は、開業から半年分の源泉所得税が、7月10日にまとめて出ていきます。これも住民税の6月納付のタイミングとほぼ重なるので、事前に把握しておきたいポイントです。

開業直後にお金に困らないように

開業初年度の資金繰りは、医業の収支構造だけで決まるわけではありません。退職月によって、住民税の支払い方も金額も変わってきます。

事業計画書の段階で、ここをきちんと織り込んでおけば、開業後に納付書を見て驚くことはなくなります。逆に、ここを甘く見積もると、運転資金や生活費が足りなくなって、お金の心配をすることになってしまいます。

僕が開業支援のなかで大切にしているのは、開業前の段階で「初年度に何にいくら出ていくか」を一緒に整理することです。住民税のように、勤務医時代の所得から逆算できる支出は、開業前から金額が見えています。だからこそ、最初の資金計画に組み込んでおく価値があります。

開業を控えている先生、開業して間もない先生で、「自分の退職タイミングだと、住民税がどう動くんだろう?」と気になる方は、LINEからご相談ください。

開業前の段階で資金繰りの全体像を一緒に整理できると、開業後の安心感がまったく違ってきます。気軽にメッセージをいただければと思います。

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