歯科の開業融資は税理士に丸投げNG|銀行選びから院長が動くべき理由

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こんにちは、島田(つぶやきはこちら)です。

開業融資は、税理士に丸投げしない方がいいです。

先日、来年の開業を考えている先生とお話ししました。

ちょうどこれから金融機関を決める、という段階だったのですが、その先生は「金融機関選びも税理士さんにお任せしています」とおっしゃっていたんですね。

僕は、そこは任せない方がいいと思っています。
むしろ、金融機関を選ぶところから院長先生が動くべき場面です。

そしてこの話は、金融機関選びに限らず、融資全般に言えることだと考えています。

特に開業融資は、先生ご自身が主体的に統率すべきものです。

今日はその理由をお話ししていきますね。

目次

金融機関の特色は自分の目で確かめるべき

まず、世の中にどういう金融機関があって、どういう特色があるのか。
これはご自身の目で確かめた方がいいです。

メガバンクなのか、地銀なのか、信用金庫なのか、日本政策金融公庫なのか。

ひとくちに金融機関と言っても、本当に違います。

融資に対する考え方も、スピード感も、開業医に対するスタンスも違います。

たとえば一般的には日本政策金融公庫は民間の金融機関を補完する役割を持っていて、信用金庫は地域密着で担当者がよく足を運んでくれ、地銀は扱う金額の幅が広い、と言われます。

ネットで調べれば「こういう特色があります」という情報は出てきます。僕から説明することもあります。

でも実際はそういう傾向はありつつも、各支店や担当者ごとに特色が違うのです。

だからこそ院長先生が自分で会って、肌で感じて納得するのがマストだと思っています。

むしろ「本当にこの金融機関でいいのか」と思いながら、税理士からの情報だけで決めてしまうと、後々後悔することになると思います。

面談に行ってみると、担当者の反応や説明の丁寧さで、その金融機関の姿勢が見えてきます。
数行回ってみると、違いがはっきりわかるでしょう。

今から説明するように、その手間はの見返りは遅かれ早かれやってきます。

歯科医院と銀行は20年の付き合い

ここまでいうのは、歯科医院が金融機関と本当に長い付き合いになるからです。

設備資金であれば、返済期間が最長20年というケースもあります。
つまり、20年間その銀行と付き合っていくということです。

しかも一回借りたら終わり、ではありません。

20年間、音信不通でいいわけがないんです。
定期的にこちらから決算報告した方がいいですし、銀行の側からもヒアリングが来ます。

「この医療機器を買う計画でしたけど、どうでしたか」

「今、どんな感じですか」

こういう確認が、借りた後もずっと続いていきます。

さらに言えば、開業時の融資で終わりとは限りません。

運転資金が必要になることもあれば、数年後にユニットを増やすこともあるでしょう。

医療法人化のときにも銀行が関わってきます。

そのたびに、これまでの付き合い方が効いてきます。

そのやり取りが積み重なっていくと、金融機関そのものの特色だけでなく、窓口の担当者との相性も効いてきます。

相性が合わなければ、それ自体がストレスになります。逆に合えば、話が驚くほどスムーズに進みます。

ここで大事なのは、税理士が付き合いやすい銀行かどうかではありません。
院長先生が付き合いやすいか、話しやすいか。そちらの方がはるかに大事です。

税理士の都合で選んだ銀行と、20年付き合っていくのは嫌じゃないですか。

銀行が信用するのは税理士ではなく院長先生

もうひとつ、大きな理由があります。

銀行は、税理士を信用してお金を貸すわけではありません。事業主である院長先生を信用して貸してくれます。

銀行が知りたいのは、院長先生がどう考えているのかです。

どんな医療をやりたいのか。これまでどんな経歴を歩んできたのか。今の財産の状況はどうなっているのか。すべて先生ご本人のことです。

ですから、どれだけ優秀な税理士がついていても、先生の説明がうまくいかなければ借りられません。

税理士が全面的にサポートして希望通りの融資を受けられたとしても問題が残ります。

税理士が言っていることを、先生が本当に理解できていなかったときに、突っ込まれるのは院長先生です。

開業した後、銀行から必ず聞かれます。

「開業前にこういう計画を立てていましたけど、今どうなっていますか」と。

このとき、税理士がつくった数値計画を先生が納得し、理解できていなければ、何も説明できません。
計画と実績がずれたときに、その理由を語れるのは先生だけです。

銀行の目から見て院長先生が「頼りない人」か「信頼できる人」かの判断はこういう場面がポイントになります。

そして、次に借りたいときに響いてきます。

税理士の正しい使い方は「壁打ち相手」

では税理士は不要なのかというとそうではなく(ポジショントークですが)。

有効な使い方があります。

税理士からはぜひ情報収集をし、数字や資料の見せ方をレクチャーしてもらいましょう。

他の融資を経験している税理士であれば、「こう聞かれたときは、この順番で伝えたほうがいいですよ」とお伝えできます。

「資料はここまでにしておいた方がいい」「逆に、もう少し開示した方がいい」という判断もできます。

でも、それはあくまで院長先生に投げるためのものです。

院長先生に考えていただいて、院長先生の言葉に落とし込んでいただいて、院長先生から銀行に伝える。
ここが一番大事なところです。

情報のソースは、あくまで先生ご自身です。税理士が代わりに考えるものではありません。

もう少し具体的にいうと、院長先生が考えたことを、税理士が「その説明だと銀行には伝わりにくいです」「その数字の根拠をもう一段掘り下げましょう」と返したりします。

そのやり取りを通して、先生の中で計画が固まっていきます。

自分で考えて、それを税理士と壁打ちする。
僕はこの形が一番いいと思っていますし、後悔も少ないと思います。

「うちは違う」と言えるのは院長先生だけ

他医院との相対評価ができるのも、医療従事者であり経営者である院長先生だけです。

たとえば、一般的にはユニット3台で1日30人だとした場合、「うちはその3分の2で十分回ります。むしろ、それが理想の医療です」と言えるのが先生なんですよね。

そして、なぜそうなのかを説明できるのも先生だけです。

患者さん一人にかける時間を確保したい。経営の規模はこの範囲にとどめて、それ以上は広げないというこだわりがある。だから利益計画もその前提で立てるし、返済原資もそこから積み上げていく。ちゃんと返せますよ、と説明ができる。

ここまで言えると、銀行は納得します。数字の大小ではなく、根拠があるかどうかを見られているからです。

一般的なフォーマットに沿って、当たり障りのない事業計画を税理士が書くと、院長先生の医院のことは伝わりません。

いわば院長先生の尖っている部分、他院とは違う部分をしっかり伝えましょう。

「うちはこのやり方はしない」「逆に、これはやる」など、そのコアを税理士に伝えていただいて、どう見せるか、どう落とし込むか、どのタイミングで伝えるか、そこを一緒に考えることが肝心です。

差が出るのは断られたとき

最後にもう一つ。

丸投げの問題が一番はっきり出るのは、うまくいかなかったときです。

希望額に届かなかった。金利や保証の条件が思っていたより厳しかった。あるいは、そもそも断られた。
というのは融資の現場では珍しい話ではありません。

そのとき、税理士に任せきりだとどうなるか。

税理士は院長先生のところに戻って、もう一度ヒアリングをするしかありません。

何が足りなかったのかを推測して、必要そうな情報を聞き出して、計画に落とし込んで、また銀行に持っていくことになります。

ここでどうしてもタイムラグと情報格差が生まれます。

しかも、その聞き取りが的を射ているとは限りません。銀行が本当に引っかかっていた点と、税理士が想像した点がずれていることもあります。

一方で、先生ご自身が最初から交渉していた場合はどうでしょうか。

まず、何が足りなかったのかが肌でわかります。

担当者の反応も、質問の角度も、その場で見ているからです。

数字の根拠が弱かったのか、コンセプトの見せ方だったのか、自己資金の説明だったのか。ここが自分の感覚として残ります。

そしてもうひとつ。

経営する立場、診療する立場から「これは伝わっていなかった」と気づけます。

診療圏のこと、前の勤務先での実績、ここでやろうとしている診療の中身など。

数字には出てこないけれど、貸す側の判断材料になる情報を先生は持っています。
それを足せば印象が変わる、という判断ができるのは先生だけです。

逆に、銀行が何を気にしているのかを、その場で聞き出すこともできます。「どのあたりが引っかかりますか」と一言聞けるかどうかで、次に打つ手がまったく変わります。

この差が出るのは、最初から自分で統率していたかどうかです。

なので開業融資を税理士に丸投げするのは、僕はおすすめしません。

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