こんにちは、島田(つぶやきはこちら)です。
承継を控えている後継者の先生へ。
いま、こんな気持ちを抱えていないでしょうか。
「古参のスタッフと、うまくやっていけるか不安」
「そんなに大きな借金は抱えたくない」
「医院のコンセプトを、自分の色にガラッと変えたい」
長く医院を守ってきた先代の院長先生の気持ちを考えると、少し寂しく聞こえる願いかもしれません。
だからこそ、口に出すのがはばかられて、飲み込んでいる方もいらっしゃるのではないかなと。
ですがこれは、先生が本気で医院を続けようとしているからこそ出てくる悩みでもあります。
そして、この願いを叶える手立ては、ちゃんとあります。
その一つが、承継をきっかけに「小さな医院」へリニューアルするという選択です。
この方針でのリニューアルが絶対の正解ではありません。
でも、いまの気持ちに少しでも心当たりがあるなら、ここから先を読み進めてみてください。
「小さな医院」という選択肢
まず前提を一つ。
「小さな医院」は、医療供給力や雇用を守ることよりも、「自分がやりやすい形で医院を続けたい」という想いを優先する選択です。
ここは先代とぶつかりやすいところかもしれません。先代は、大きくしてきたことに誇りがありますから、縮めると言えば、否定されたように感じる方もいます。
そのうえで、ならこのリニューアルはとても有効な手立てになります。
というのも、財務的なメリットは大きいからです。
承継にあたっては、先代との医療技術の違いから設備を刷新したり、医院を建て替えたりするケースがあります。
このとき、規模を維持したまま設備を刷新するリニューアルには、高額な融資がついてまわります。
一方で、いまある医院を小さく作り替えるほうが、実現可能性がずっと高い。これは言うまでもない話です。
規模を絞れば、抱える設備も、まわす人数も、身の丈に合わせられます。
ユニットを減らす、診療範囲を絞るなどの方法で、外的な環境から小さくするやり方はいくつかあります。
先生が不安に感じている古参スタッフとの関係も、体制を組み直すきっかけにできます。
とはいえ、雇用に関しては労務上すぐに解雇することは難しいです。
なので「規模を見直す」という大義名分を丁寧に伝え、本格的な承継フェーズに入る前に理解していただくプロセスが必須です。
規模を大きくするにしろ、小さくするにしろ、合う人と、合わない人がいます。
どちらが悪いという話ではありません。医院の向かう先が変われば、必要な役割も変わる。それだけのことです。
「小さな医院」への移行デメリット
もちろん、メリットだけではありません。
規模を絞るぶん、患者さんや従業員には少なからず影響が出ます。
長く通ってくれた患者さんが離れることもありますし、一緒に働いてきたスタッフの雇用にも、手をつけることになるかもしれません。
ここから目をそらすことは難しいです。
それでも、自分のやりたい医院をつくりたい。その気持ちが強いのなら、検討する価値は十分にあります。
ここで一つ、補足させてください。
「小さな医院」は、簡単な投資計画でいい、という意味ではありません。むしろ逆です。
診療の幅をあえて絞り込み、先生が本当に力を発揮できる領域に、モノもお金も集中させる。そういう選択です。
集中させるぶん、当たったときのリターンは大きい。でも、間違えたときの損失も大きくなります。
だからこそ、設計は丁寧にやる必要があります。
なんとなく小さくする、が一番あぶないです。
もう一つ言えることがあります。
この作り替えは、承継のタイミングが一番やりやすいということです。
院長が代わる、という事実そのものが、変化の理由になるからです。
患者さんにもスタッフにも、説明がつきます。数年経ってから縮小するより、はるかに角が立ちません。
やるなら、この節目を逃さないことです。
財務戦略はそのままでは通用しない
一番の注意点をお伝えします。
これまでの収支のかたちは、そのままでは成立しないことがあります。
理由は二つ。
患者数が少なくなること、そして先代と先生とでは、得意な診療が違うことです。
だから、ある程度患者さんが付いているとはいえ、必ず手を打つ必要があります。
打ち手は、大きく二つです。
新しい層の患者さんにアプローチするか、既存の患者さんに医院の新しい方針を伝えて認知を変えていくか。このどちらかは、避けて通れません。
ここを曖昧にしたまま規模だけ縮めると、思ったより早く資金が苦しくなります。
「患者さんは残るだろう」という楽観が、一番あとで効いてきます。
先代を頼りに通っていた方は、代替わりで離れることがあります。そこは、正直に見積もっておいたほうがいいです。
もう一つ、大事な話を。
規模が変われば,、適正な借入も、手元に残すべき現金も変わります。ここを先代のときの感覚のままにしておくと、あとで判断を誤ります。
先代の「これくらい借りて大丈夫」は、それまでの規模の医院の感覚です。小さな医院には、小さな医院の適正値があります。
ここで、もう一段大事な話があります。先代から引き継ぐ借入金です。
その借入が、規模の大きかった頃に組んだものだとします。
規模を小さくすると利益は相対的に減り、返済に回せるお金も少なくなります。すると、これまでと同じ返済額が、急に重くのしかかってきます。
ただし、これだけで結論は出せません。
いまの借入をそのまま返し続けるのと、承継のリニューアルで新しく設備投資用に借り入れを行うのと、どちらの返済負担が大きいか。それは状況によって変わるからです。
だから、先代の借入がいくら残っていて、毎月いくら返しているのか。ここは承継を決める前に、必ず確認しておいてください。
そして、小さな医院だからこそ、融資が大きな武器になります。
手元資金の規模は大きくないのに、医療機器の値段は大規模医院と変わらないからです。
むしろ、こだわりが強いぶん、医療機器の単価は高くなりがちです。
自己資金だけで揃えようとすると、承継直後の現金がいきなり細ります。
手元が薄い状態でのスタートは、精神的にもきついものです。
少し借りて現金を厚くしておくほうが、腰を据えて診療に向き合えます。
借りない選択が、いつも安全とは限りません。
だから大事なのが、銀行が「貸したい」と思える決算書を、小規模医院バージョンで作っておくことです。
小さいなりに利益が出て、返済にも無理がない。そう判断してもらえる数字を、承継後の早い段階から整えておく。
「貸したい」と思える決算書は、一朝一夕では作れません。だからこそ、承継直後の一期目から意識してほしいのです。
この積み重ねが、長い目で見た資金繰りに効いてきます。
承継の形は一つじゃない
承継は、医院をそっくりそのまま引き継ぐことだけにこだわる必要はありません。
先生の希望と、続けていける財務。この両立をどう設計するかで、その後の医院の走り方は大きく変わります。
大きく借りて、大きく守る。それだけが正解ではありません。小さく始めて、着実に育てる。その道も、ちゃんとあります。
とはいえ、先代とのコミュニケーションがうまくいかない、という先生もいらっしゃいます。
想いは同じなのに、言葉がすれ違う。それはもったいない話です。
その場合は、僕が通訳的な立ち回りをします。数字を間に置くと、感情論になりにくくなりますから。
「縮める」ではなく「続けるために形を変える」。
同じ内容でも、伝わり方はまるで違います。
先生の医院を、先生のやり方で続けていくためのお手伝いができればうれしいです。
ご相談があれば、LINEやメールでお気軽にお問い合わせください。


