【note】税理士のアタマの中

歯科開業の融資で、銀行が意外に気にしていること

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こんにちは、島田(つぶやきはこちら)です。

歯科開業の準備で融資の話題になったとき、多くの先生がまず気にするのは「いくら借りられるか」「金利は何%か」「返済期間は何年か」といった融資条件ではないでしょうか。

もちろんそれらは大事です。でも実は、銀行の担当者が内心もっと神経を使っていることが別にあります。

それが「融資実行日(着金日)がいつか」という話です。

今回は、開業融資の場面で銀行が何を考えているのかを、できるだけリアルに解説します。
これを知っておくだけで、銀行との関係がぐっとスムーズになりますので。

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目次

融資条件より先に「着金日」がある

銀行との融資交渉というと、金額や金利の話をイメージしがちです。でも実際には、銀行の担当者は交渉の早い段階から「融資実行日はいつになるか」を意識しています。

なぜかというと、億単位になる歯科開業の融資は、銀行内の手続きが複雑だからです。

一般的な小口の事業融資であれば、支店の決裁だけで話が進みます。

でも歯科開業のような規模になると、支店だけでは決裁できません。本店への稟議、場合によっては複数回の審査会を経て、ようやく融資が正式に決定されます。

さらに、日本政策金融公庫と民間銀行が協調融資で組む場合はもっと複雑です。

多くの場合、民間銀行の担当者が日本政策金融公庫に情報の伝達をしてくれています。

そのためスケジュールが一度ズレれば書類のタイミングや手続きの調整が必要になります。

銀行の担当者は、公庫の担当者と裏で調整しながら、必要なときに必要なお金が事業者の手元に行き渡るように根回しをしているわけです

当然ですが融資の実行は即日着金するものではありません。本店決裁・社内手続き・協調先との調整など、複数のプロセスを経た先にある話です。だからこそ銀行は、融資実行日を逆算して動かなければならない。その出発点が「着金日はいつか」という情報なのです。

「着金日がいつか」を早めに伝える重要性

では、先生方はどうすればいいかというと。

銀行に対して、融資実行日(着金が必要な日)をできるだけ早く、具体的に伝えること。これだけです。

この理由を2つ紹介していきます。

自己資金を守るため

銀行からの着金が間に合わない場合、業者への支払いを一旦自己資金で立て替えることが多いです。

開業前後はただでさえ出費が重なる時期です。

自己資金が想定外のタイミングで出ていくと、その後の運転資金や生活費が一気に苦しくなります

最悪の場合、繋ぎ融資を別途手配しなければならなくなることもあり、これは余計なコストと手間が発生します。

着金日を早めに伝えて、融資実行を予定通りに進めることが、こうしたリスクを防ぐ一番シンプルな方法です。

据置期間をフル活用するため

もうひとつの理由が据置期間の活用です。

歯科開業の融資では、元本の返済開始を一定期間猶予する「据置期間」が設定されることがあります。

この期間中は元金の返済が不要で、利息のみの支払いで済むため、開業直後の資金的な余裕をつくれる制度です。

ただし、据置期間には期限があります。「融資実行日から1年以内」や「半年以内」といった形で設定されることが多く、融資契約の開始日をいつにするかによって、実質的に使える据置期間の長さが変わります。

融資実行日(=着金日)を適切に設定できれば、この据置期間を無駄なくフルに活用できます

逆にこの調整が後手に回ると、本来使えたはずの猶予期間を無駄に浪費してしまうことになりかねません。

自己資金の確保と据置期間の最大活用。この2つのベネフィットを確実に得ましょう。

着金日を伝えるために必要なこと

着金日を銀行に伝えるために必要なのは「各業者への支払いスケジュールと金額の把握」です。

歯科開業では、複数の業者に対して支払いが発生します。

内装工事業者、医療機器メーカー、建築設計事務所、テナント契約の保証金など、支払い先と時期はバラバラです

すべての支払いをリストアップして、「いつまでにいくら必要か」を整理する。その最終的な着金期限が、銀行に伝えるべき「融資実行日」になります。

この作業は地味ですが、とても重要です。

業者さんに「支払い期日と金額を教えてください」とヒアリングして回ることになりますが、これが開業プロジェクト全体のスケジュール管理にもつながります。

支払いスケジュールが明確になれば、銀行への連絡も具体的にできます。「○月○日までに、○○○○万円の着金が必要です」という形で伝えられると、銀行の担当者はそこから逆算して動けます。

漠然と「来月くらいには…」というより、担当者が社内でどれだけ動きやすくなるか、想像してみてください。

院長は「プロジェクトの統括リーダー」である

ここで少し視点を広げて、普段から僕が思っていることを書きます。

融資の場面に限らず、開業プロジェクト全体を通じて院長先生に求められる役割の話です。

院長先生は「銀行と各業者の間をつなぐパイプ役」だと思っています。

内装業者は内装のことしか把握していません。機器メーカーは機器の話しかしません。銀行は融資のことを考えています。それぞれが自分の領域を担当しており、横のつながりはほとんどありません。

その全体像を把握して、スケジュールの矛盾を調整し、必要な情報を必要な相手に届けるのが院長先生の役割です

開業プロジェクトにおいては、先生が統括リーダーとして動く必要があります。

「銀行に着金日を伝える」という行為は、その統括リーダーとしての仕事のひとつです。業者から集めた情報を整理して、銀行に伝える。この一連の動きが、プロジェクト全体を動かす起点になります。

もちろん、開業コンサルタントや税理士がサポートに入ることで、この調整作業をある程度緩和することもできます。

とはいえ最終的な判断と意思決定は先生自身が行う必要がありますし、銀行や業者と直接顔を合わせて関係をつくっていくのも院長さん自身です。

じゃあ統括リーダーとして具体的にどういう動きをしたらいいのか、何に気を配ればいいか、についてはこちらの記事でまとめているので合わせて読んでみてください。

開業後の銀行との関係が良くなる

開業融資の際の銀行との関わり方が、開業後の関係にも影響してくるという話をします。

歯科医院が銀行の資金力を借りるタイミングは開業時だけではありません。

開業後も、設備の更新やユニット増設が控えています。まとまった設備投資が必要になる場面は必ずやってきますよね。

そもそも開業時はユニットの増設余地を残しているケースがほとんどだと思いますし。

ここで大事なのが、開業融資のときに「貸したい」「貸しやすい」という印象を残せているかどうかです。

支払いスケジュールを整理して持ってきてくれた、連絡が早くて話が通じやすかった——こういった印象が銀行内に残っていると、次の融資の話もスムーズに進みます。担当者が変わっても、支店に「この先生はやりやすい」という評判が残れば、長期的な関係構築につながります

逆に、「スケジュールが直前まで決まらなかった」「二転三転した」という印象が残ると、次の融資交渉のとき対応が消極的になる可能性が高まります(もちろん、必ずそうなるとは言い切れないですが)。

だからこそ、開業融資の場面から「良い印象」を意識して行動することがキーポイントになります。

まとめ

今回の話をまとめていきます。

銀行が開業融資で気にしているのは、融資条件だけではありません。「融資実行日(着金日)はいつか」という手続きの期限に、銀行の担当者は早い段階から神経を使っています。

億単位の融資には本店決裁が必要で、協調融資の場合はさらに関係機関との調整が伴うからです。

先生方にやっていただきたいことはシンプルです。各業者から支払いスケジュールと金額をしっかりヒアリングして、「○月○日までに○○○○万円の着金が必要です」と、できるだけ早く銀行に伝えること。

これだけで銀行の担当者は動きやすくなり、交渉全体がスムーズになります。そして何より、開業後も続く銀行との長期的な関係において「良い印象」を残すことができます。

開業プロジェクトの統括リーダーとして、先生に担っていただきたい仕事のひとつです。ぜひ意識して取り組んでみてください。

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