こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。
このブログでは、経営の攻めとは「お金と時間を売上獲得のために使うこと」とお伝えしています。
ですので、攻めのスタートは、お金と時間をいつ、どこに、どれくらい使えば売上を獲得することができるのか、を考えることです。
「このとおりにいけば業績は良くなる」というロードマップが分かっていれば、あとはやるだけです。
逆に、ここが分かっていないと、無策で意味のないお金や時間を使ってしまうことになるわけなので。
では、どうやって考えたらいいのか。
私は、経営計画の策定が一番効果的だと考えています。
そして、それを税理士と策定して運用していくのが、コストパフォーマンス的にも、タイムパフォーマンス的にも優れている、というのが持論です。
「税理士だからそう言っているんだろ」、と言われればそのとおりで、事業者に税理士のスキルや知識をうまく利用してもらいたい、という想いがあります。
そこで、本記事では、経営計画が攻めに効果的である理由と、策定から運用まで税理士と付き合うメリットをお伝えしていきます。

経営計画が攻めに効果的である理由
売上獲得のロードマップになる
経営計画に決まったフォーマット、というものはありませんが、一般的に盛り込まれている内容は次の3点に集約されます。
- 基本方針
- 分析
- 計画
基本方針とは、重点目標や経営理念をいいます。
重点目標には、売上目標が掲げられることはもちろん、○年後までに新社屋の建設を目指すとか、○年後までに社員をこれだけ増やす、といった、売上目標を達成するために必要なことも記載されます。
これはまさに、売上獲得のためにお金をこういう風に使っていきます、という意思表示だといえます。
もしくは、売上を獲得するモチベーションにもなるでしょう。
経営理念は、事業を行うにあたって自社が大切にしたいことを言語化したものですので、”正しい”「お金や時間の使い方」のための判断基準になります。
ここでいう”正しい”は、経営者の思想を植え付けるわけではなく、社員も主体的に経営理念の策定に参加することで、自立的に守りたいと思えるような正しさであることが重要です。
分析には、商流分析、業界分析、自社分析がありますが、要するに、いま自社が置かれている状況を把握して、どこにお金と時間をかけて勝負するか、を決めるためのものです。
有名な分析手法でいうと、PEST分析、3C分析、SWOT分析などがありますよね。
どんな分析であれ、外部環境はどういう状態なのか、市場はどんな商品サービスを求めているのか、自社の武器はなんなのか、ということを明らかにすることが目的です。
ですので、売上を獲得するためのお金や時間の具体的な配分方法を見つけるのに効果的だといえます。
たとえば、今まで女性向けの商品として扱っていたけれども、分析してみたら実は男性向けでも売れるのではないか、ということがわかかれば、そこにお金と時間を投下していくことになります。
計画は、数値計画と行動計画に分かれます。
数値計画とは、1年後、3年後、5年後、10年後の売上、経費、利益、投資など、数字であらわされるもので、どういう過程を踏んで会社を発展させていくのか、が分かるものです。
ちなみに、資金繰り計画もここに入ります。
売上を獲得していくためには、お金が底をつかないことが大前提であるからです。
行動計画は、売上を獲得していくために、経営陣、管理職、社員の全員がそれぞれなすべきことをスケジューリングしたものです。
売上の数字上はこうなるはず、と分かっていても、実際の行動が伴わなければ結果は出ないので、数値計画と合わせて行動計画も必要になります。
要は、お金と時間のうちの”時間”にフォーカスを当てているのが行動計画です。
経営者の時間も社員の時間も、無限にあるわけではないため、優先順位、担当、期限をはっきりさせておかないと成果は生まれにくくなります。
だからこそ、行動計画でこれらを事前に決めて、都度都度チェックする体制が必要ということです。
外から資金を呼び込める
根拠のある経営計画ができたら、それを資金調達活動に活用することができます。
というのも、経営計画があるのとないのとでは、融資を引き出せる可能性が変わってくるからです。
「これからこれにお金を使うからお金を貸してくれ」では金融機関の担当者の信頼を得ることはできません。
「これからこれにお金を使うけれども、ちゃんと売上が獲得できる計画がある」と分かっていれば、返済ができる根拠が分かるため、貸すことに対して前向きになってくれるわけです。
お金はあればあるだけ積極的な投資ができますが、自社もしくは経営者の個人的な懐の範囲内では、できることが限られてしまいます。
そういうときに、金融機関から融資を引っ張るのは非常に有効な手段であり、そのために経営計画があれば円滑に交渉を進めることができる、といえます。
ちなみに、経営計画が役に立つのは融資だけではなく、出資でも同じです。
外部の投資家から資金調達が必要であればその投資家を説得する材料がなければいけません。
投資家が出資の判断をするときに、この会社は売上をしっかり稼ぐことができるのか、という目線で見ているのは言うまでもないでしょう。
だからこそ、その説得材料として経営計画が必要になるのです。
経営計画を税理士と一緒に作るべき理由
ということで、経営計画は売上獲得のためのロードマップや他人への説得材料の役割を果たすわけですが、これを現場で使えるレベルで作成できて、実際に運用できていないと意味がありません。
そのためには、会社のビジネスモデルや組織図や経営状態を高レベルで把握できている必要があります。
で、これを全て把握しているのが税理士なんですね。
というのも、税理士は適切な決算書や申告書をつくるために、会社の取引を把握しなければいけませんし、会社がいまどんな資産をもっていてどんな社員が働いているかを把握しなければいけない立場だからです。
もっというと、経営者がこれからやることも把握して、税務的なリスクがないかを事前に察知しておかなければいけないので、今の情報だけではなく、将来の情報も知っておかなければいけません。
経営者の立場からしても、幹部社員にも伝えてないけど税理士には伝えてある、という話はあるのではないでしょうか。
あとは、経営には関係ないけれども個人的な相談をすることだってあるはずです。
実は、この個人的な相談内容も無視はできません。
というのも、中小企業の場合、経営者は会社の所有者であり、最高責任者でもあるので、経営者のライフイベントやお金の出入りは経営計画と密接に関わってるからです。
手前味噌ですが、会社の情報を把握していて、かつ、会計や税務の知識もある、これ以上の存在は税理士以外にいないのではないでしょうか。
もちろん、税理士とは別のコンサルタントや公的機関の職員の方と策定する手もあります。
ただ、そういう方々に依頼するなら、日頃から会社や経営者がどういう商売をしているのか、どういう価値観なのかを伝える必要があると思います。
もっとも、時間をかけて情報を共有していってもいいですが、時間がかかります。
売上獲得にはお金もそうですが、時間をいかにそこに集中させることができるのかがキモになってきます。
決算書や短期的なヒアリングから得られる表面的な情報で、上辺だけの経営計画を作ったって意味がありません。
むしろ、そいったものが出来上がると一番損をするのは経営者本人です。
なぜなら、計画どおりに事が進まなかったことに対してネガティブな感情を抱くのは経営者だからです。
経営計画は達成して更新することに意味があります。
最後に、経営計画は作ったら終わり、ではありません。
計画どおりにいっているのか、そうじゃないならどこが問題なのか、を数年単位でPDCAを繰り返していく必要があります。
税理士にしろ、コンサルタントにしろ、公的機関の職員にしろ、運用までを見据えた長期スパンでの付き合いができる専門家を見つけるのが得策といえます。