事業承継では目に見える資産と、目に見えない資産の両方を扱うことになります。
どちらも重要な経営資源ですので、可能な限り最善の状態で引き継ぐことが大切です。

事業承継で引き継ぐもの
「事業承継」とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。
そして、引き継ぐべきものは大きく分けて2つの要素があります。
事業資産と知的資産です。
①引き継ぐべき事業資産
事業資産とは、
・株式(自社の株式)
・資金(借入金も含む)
・事業用資産(土地、建物、機械設備、ソフトウエア)
・投資資産(保険、有価証券)
・許認可
といった、事業を遂行していく上で必要なものです。
基本的には目に見えるもので、換金性や権利があるもの、というイメージです。
②引き継ぐべき知的資産
知的資産とは、
・経営理念
・経営計画・事業計画
・取引先との関係性
・経営者と会社の信用力
・社員(人材)
・社員の技術やノウハウ
・顧客情報や顧客とのネットワーク
・組織力
といった、財務諸表、とりわけ貸借対照表に表れてこない、目に見えない経営資源です。
目に見えないため、そもそも自社にどういう知的資産があるのかが
わかっていない経営者も多くいらっしゃいます。
必要な準備の種類は異なる
事業資産と知的資産では、性質が全く異なります。
イメージでいうと、
価値が伝わりやすい事業用資産と、抽象的でふんわりしている知的資産、という感覚をお持ちになった方もいらっしゃるかもしれません。
このように、性質が違うからこそ、実際の引き継ぎにおいてはその準備の方法も異なります。
事業資産の引き継ぎは「手続き」
事業資産の代表格、一番わかりやすい例は、自社の株式です。
親子承継、親族外(社内)承継、M&A、どの方法をとったとしても、自社の株式を後継者に渡す必要があります。
このときに必要になるのは、「手続き」です。
事業承継税制を使った相続税の納税猶予・免除も、
M&Aの株式譲渡契約も、
自社株の評価も、
税理士、弁護士といった専門家に相談して、しかるべき手続きをしなければいけません。
借入金の保証の引継ぎも同じです。
経営者保証を引き継ぐのか、解除するのかは、専門家や金融機関と相談して、
契約条件の見直しなどの手続きが必要になります。

要は、必ずしなければいけない、義務的な準備という意味での「手続き」です。
知的資産の引き継ぎは「計画」
反対に、知的資産の引き継ぎは、基本的に手続きをする必要はありません。
そもそも、経営理念や経営計画の存在自体がない企業も多数あります。
取引先との関係性やネットワークについても、
承継にあたって挨拶周りをしたほうがいいかもしれせんが、法律的な義務はありません。
ただ、知的資産の引き継ぎをしないと、経営は成り立ちません。
なぜなら、知的資産もお金や人や設備と同じ、経営資源だからです。
そして、知的資産の引き継ぎには、「計画」や「戦略」を立てなければいけません。
例えば、
後継者の教育は、財務や人事といった知識面も重要ですが、
それだけではなく今後会社をどうしていくか、どうしていきたいのか、という将来の方向性を、
後継者本人と明らかにしておく必要があります。
その過程で必ず、経営計画や事業計画を立てる場面が出てくくるはずです。
また、よく社員(人材)の引き継ぎにおいて問題となる、古参社員の処遇や組織体制の見直しも同じです。
承継後に組織をどうしていくか、どういう人間が足りないのか、どの配置が適切なのか、
といったことは、収支計画や人材育成計画とも絡めながら、考えていかなければいけません。
どちらもバランスよく進める
どうしても、人間の性なのか、
義務的な手続きから整えようとする経営者はある程度いらっしゃいます。
逆にいうと、知的資産の引き継ぎの計画は義務ではないため、
問題は山積みであるにもかかわらず、放置してしまう傾向にあるのだと推測しています。
例えば、事業承継税制を活用しあ納税猶予ばかりに目が言ってしまって、
承継後の収支計画や事業展開を考えていない、といったことです。
ただ逆もしかりで、要は、どちらもバランスよく進めることが大切です。
個人的には、順番的に、
承継後に会社をどうしていきたいのか、という計画があって、
それを実現するために必要な手続きを選ぶ、
ということになると考えています。
なぜなら、
先に手続きに目を向けてしまうと、本当に実現したかった承継後の未来が見えていないまま承継が進む可能性があるからです。
まとめ
事業承継は乗り越えなければいけない課題が山積みです。
ただ、
だと考えています。
◆編集後記
私の要望で2日連続鍋。
地元富山の氷見うどんのしめは最高です。
◆家トレ日記
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