【note】フリーランスのお金と暮らしの話

令和時代のミッション・ビジョンのつくり方

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こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

先日、Appleに用があったのですが、直営のAppleストアと、家電量販店の一角にあるAppleブースが、家から同じくらいの距離にあって、どちらに行くか選ぶことができました。

結果的に、直営のAppleストアに行きました。

理由は、Appleストアの世界観を楽しみたかったから。

その選択は正解で、外国人の店員が気さくに話しかけてくれたり、大きなモニターがあってそこでiPadの使い方のレクチャーが行われていたり、非日常的な時間を過ごすことができました。

とはいうものの、家電量販店の一角にあるAppleブースでも用は済ませることはできましたし、もっというと、Apple以外にも良い商品は置いてあるはずなので、そっちに行ってもよかったはずです。

これは私の何気ない日常ですが、ここに、これからの令和時代に企業が生き残っていくヒントが隠されているのではないかと。

要するに、いまは商品の価格や性能ではなく、世界観や価値観で顧客を魅了することが求められているということです。

じゃあ、どうやってそういった世界観や価値観を世に出したらいいのか、ということが課題になってきますよね。

その課題に対する有効な解決策は、時代に合った企業のミッションやビジョンをつくることです。

目次

これまでの市場

先ほど、「商品の価格や性能ではなく、世界観や価値観で顧客を魅了することが求められている」とお伝えしましたが、逆に、商品の価格や性能が消費者を魅了してきた時代もあったんですね。

詳しい方はご存知かと思いますが、フィリップ・コトラーが提唱する、マーケティング1.0や、マーケティング2.0の時代はまさにそういう時代です。

マーケティング1.0とされる工業化の時代では、企業は大衆に向けて大量に同じ商品を売っていました。その例として分かりすいのが、フォード社のT型車。

1900年前後にヘンリー・フォードさんが開発し、世に出したこの大衆向けの車は、同じ色・同じモデルでとにかく大量に生産することで価格を安く抑えられていました。

その代わり、この時代の消費者は気に入った商品を買うことができませんでした。
庶民は車が欲しいならT型車を買うしか選択肢はなかったんですね。


その次のマーケティング2.0の時代は、情報化社会の時代です。

この頃になると、消費者は、テレビやラジオの広告や、インターネットなどを通じて、たくさんの商品を比較できるようになりました。

となると、企業は自社の商品を選んでもらうために、他社より優れた商品を開発しなければいけなくなります。
優れた商品とは、ターゲットにウケる商品です。

より具体的な表現で言い換えれば、消費者は「より美味しい」、「よりかっこいい」商品を求めるようになった、ということになります。

そこで、企業は消費者のニーズや欲求を正確に把握し、それらを満たす商品を世に送り出していました。

その結果、消費者は幅広い選択肢から商品を選べるようになったんですね。


このように、マーケティング1.0からマーケティング2.0の時代までは、消費者は商品の価格や性能をみて、買うか、買わないかの判断をしていた、ということになります。

これからの市場

時は流れ、いまもっとも注目すべきなのはマーケティング3.0以降の考え方です。

(テクノロジーの発展に伴ってマーケティング4.0、マーケティング5.0と続いています。)

マーケティング3.0以降の時代では、消費者は企業に対して、単に自分のニーズや欲求を求めるだけではなく、社会的な責任も求めるようになりました

企業がCSR活動をアピールするようになったのも、この影響が少なからずあります。

たとえていうと、従来までは「デザインや性能の良い車」が消費者の欲求を満たしてしましたが、いまでは「きれいな地球環境を保つ車」が求められている、ということです。


あとは、消費者が自身の「自己実現」を支援してくれる企業を求めるようになったという変化があります。

「自己実現」とは、なりたい自分になるという欲求です。

先ほどのマーケティング2.0で消費者が求めていた、商品自体が「より美味しい」、「よりかっこいい」というシンプルな要求ではなく、「憧れのあの人のように生きたい」とか、「新しいことに挑戦し続ける人間でありたい」といった、よりレベルの高い精神的な欲求を満たすことが重要視されるようになりました。


その証拠に、スタバで仕事をすることがステータスになっていたりしませんか?

マーケティング2.0までの時代だったら、「より美味しい」コーヒーが求められていました。
つまり、どのコーヒーチェーンと比べてもスタバのコーヒーが美味しいなら、消費者はスタバを選ぶ、という関係性です。

でも、実際はそうじゃないですよね(スタバが美味しくないと言っているわけではなく)。
スタバのあの店の雰囲気で仕事をする自分の姿が「イケてる」からスタバを選んでいるのではないでしょうか。

「スタバに行くと気分があがる」、と言われるのはその典型例かと。

それに加えて、スタバがプラスチックの海洋汚染という社会問題を解決するために、ストローをプラスチック製から紙製に変えましたよね。

これはまさに、消費者がスタバに求めている社会的責任を果たすための取り組みといえます。


要するに、マーケティング3.0以降は、消費者の表面的な欲求を満たすだけではなく、消費者と精神的なつながりを持つことが大切だといえます。

これが、冒頭にお伝えした、「商品の価格や性能ではなく、世界観や価値観で顧客を魅了することが求められている」につながっていくのですが、理解していただけましたでしょうか?

求められるミッション・ビジョン

ということなのですが、そうすると、企業は「商品の価格や性能」をアピールしていくことにプラスして、「世界観や価値観」をアピールしていく必要がありますよね。

で、これをアピールするときに有効なのが、企業のミッションやビジョンです。

ただ、ミッションやビジョンも消費者の変化に伴って伝え方を工夫していかなければいけません。

要するに、「商品の価格や性能」をアピールするだけのミッションやビジョンでは世の中に受け入れられない、ということです。

じゃあどうやったら、「世界観や価値観」をアピールできるミッションやビジョンになるのか、がポイントになってきます。

人を魅了するミッション

ミッションは、企業の目的や使命です。

ですので、今回でいうと、自社がどんな「世界観や価値観」を追求することを目的(使命)としているか、を伝える言葉が、ミッションになります。

この言葉を掘り出すために、「なぜその事業をするのか」、「なぜそういえるのか」というWhyを繰り返し自問自答していくことになるんですね。

たとえば、「環境に優しい車を作る」→「地球環境が車で汚染されているけど、車は必要だから」→「環境問題が指摘されても車は減ってないから」→「人々にとって環境と車は同等の価値があるから」→じゃあ、うちは「車と環境が共存できる世界を絶対的な価値として追求していこう」、という感じで。

そうすると、「車と環境が共存する世界を追求する」ことがミッション(目的や使命)になるわけです。

そして、この世界観や価値観に共感してくれる人が消費者にいれば、その消費者は購入してくれるかもしれませんし、共感してくれる人が社員なら、社員の意欲が高まるきっかけになるかもしれません。

ちなみに、ミッションは企業活動が続く以上、ずっと追求していくものなので、基本的には不変なものになります。

人を魅了するビジョン

ビジョンは、企業の目標やなりたい姿です。

ですので、「世界観や価値観」を追求する過程で、何を顧客や社会に届ける企業を目指すのか、を伝える言葉がビジョンになります。

たとえばですが、「CO2の排出量が世界一少ないコミュニティをつくる」といったイメージです。

このように、「世界観や価値観で顧客を魅了」していくためには、自社にとって良いことだけではなく、顧客やその周りの社会にとって良いことをちゃんと言葉にしていくことがポイントになります。

良くない例を出すと、「世界で一番車を売るメーカーになる」がビジョンだと、顧客を魅了することはできないということです。

そのビジョンを掲げて実現させることができるのは、フォード社のT型車のようなマーケティング1.0の時代の製品ですよね。


対象が少し変わりますが、意外に顧客だけじゃなく、何を社員に届ける企業を目指すのか、を伝えるのも重要だったりします。

というのも、特にいまの日本では、人手不足が深刻化していて、企業は社員を集めるのに必死ですよね。

むしろ、顧客を集めるより難しいのではないでしょうか??

要するに、求人もある種のマーケティングなので、マーケティングの時流にのっとった対応が必要ということなんですね。



顧客と未来の社員、の両方を魅了する世界観や価値観。これがいまのミッションやビジョンに求められる必須要件といえます。

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