決算書や試算表には、貸借対照表という書類と、損益計算書という書類があります。
経営者の方は、どうしても「利益」が気になるため、それが記載されている損益計算書に注目する傾向があります。
ただ、資金状況といった会社の状態を示す情報は、貸借対照表にしかありません。
今回は、貸借対照表の見方と最低限確認すべきポイントを整理していきます。
貸借対照表と損益計算書の違い
貸借対照表は、会社の財政状態を表す書類です。
ここでいう財政状態は、会社の健康状態という意味です。
文字通り、状態を表すため、過去からの情報が詰まっています。
会社がどのように設立され、どのように資金を調達し、どのような資産を買い、その資産を使ってどれくらいの利益を稼いできたのか、という歴史が集約されています。
一方、損益計算書は基本的に1年間の成績を表すものです。
どれくらいの売上があり、どれくらいの経費を使い、どれくらいの利益を生み出したか、という通信簿です。
(基本的に、というのは1年間ではない場合もあるからです。1年間の決算でない場合には、何か月という場合もありますが、最大で1年です。)
両者の違いをマラソンに例えると、
貸借対照表:今どれくらいの疲労状況なのか、あとどれくらい余力があるのか、という情報
損益計算書:10キロごとのタイムの情報
のイメージです。
そして、貸借対照表を重要視すべき理由もマラソンで例えられます。
それは、レースを完走するためには、走っているペース以上に、いまのコンディションや、この先への影響を知っておく必要がある、ということです。
この「いまのコンディションや、この先への影響」を表すのが貸借対照表です。
貸借対照表の構成
貸借対照表の構成は以下の図のようになっています。
先ほど、貸借対照表には会社の歴史が集約されている、という説明をしましたので、会社の歴史になぞらえて、貸借対照表の構成をみていきます。
番号は説明する順番です。
①創業、会社設立
まず、会社を設立しようと思ったら、お金が必要になります。
事業のために、人を雇ったり、設備を買ったりするお金です。
そもそも会社を登記するときのお金も必要です。
その元手の資金として、起業する人が用意したお金が資本金です。
その人はお金を出資する代わりに、株式会社であれば「株」という会社を所有する権利を得ます。
資本金が、次に説明する他人からの資金調達と違うのは、返さなくていいお金ということです。
②資金調達
起業する人が自分の貯金だけではお金が足りなかったり、すぐにお金が枯渇してしまう場合には、他人からお金を借りる必要があります。
この他人とは、親族の場合もありますし、銀行や信用金庫といった金融機関から借りる場合もあるでしょう。
その他人から資金した調達が負債です。
事業のために必要なお金、という意味では資本金と似ていますが、負債はいつかは返さなければいけないお金という違いがあります。
③運用
ここまで説明した自分で用意したお金と、他人から借りたお金は、お金のまま残しておいても意味がありません。
そのお金を使って設備や機械を買ったり、商品を仕入れたりする必要があります。
このように、用意したり調達したりしたお金と引き換えに得たモノが資産です。
ちなみに、お金として残しておくことも重要です。
残している部分は、資産に現金となって表れてきます。
④稼いだ金額
上記の①~③までの準備を経て事業をスタートすると、売上がたち、経費を払い、利益が残ります。
その残った利益が溜まる場所が、利益剰余金です。
そして、この利益剰余金は、自分で稼いだお金の累積であるため、そのお金を使ってまた新たな設備や商品を買うことができます。
したがって、調達情報である右側に記載欄があります。
実際に経営においては、この①~④までをグルグル好循環させていくと、会社は大きく成長します。
最低限みるべきポイント
貸借対照表の数値から、会社の健康状態を分析する財務指標は何種類もあります。
その財務指標の紹介や細かい説明は別途整理しますので、本記事では直感的に会社の状態を確認する方法を2つお伝えします。
■その1:自分のお金vs他人のお金
貸借対照表の右側に注目する方法です。
自分のお金とは、上記の図でいうと①と④です。自分で出資したお金と稼いだお金の合計です。
他人のお金とは、上記の図で言うと②です。他人から調達したお金です。
チェックポイントは①+④と②を比較して、①+④>②の状態になっているか、です。
②のほうが大きいと、事業に必要なお金の半分以上を返さなければいけない他の人に頼っている、ということになるため、このチェックは有効です。
■その2:流動資産vs流動負債
貸借対照表の左側と右側のそれぞれ上半分に注目する方法です。
資産の欄、負債の欄は、それぞれ「流動」と「固定」に分かれていて、上半分の「流動」を使います。
流動資産は1年以内に換金されるもの(若しくは既に現金)、流動負債は1年以内に返済しなければいけないものです。
固定はその逆で、1年以上の期間を必要とするものです。
チェックポイントは、③のなかの流動資産と、②のなかの流動負債を比較して、③のなかの流動資産>②のなかの流動負債になっているか、です。
②のなかの流動負債のほうが大きいと、すぐに換金できるお金を全て使っても、すぐに返さなければいけない負債を返すことができない、ということになるため、そうでないかを確認する必要があります。
まとめ
資金繰りに困っている場合は貸借対照表にヒントが隠されています。
今回ご紹介した方法に加えて、様々な財務指標を分析すると、
より厳密に資金繰りの状況を確認でき、将来予測をすることができます。
貸借対照表を味方にすることが重要です。
◆編集後記
今日は極寒です。
晴れてはいますが、気温は-2℃。
給湯機に凍結防止のサインが出ました。
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