【note】フリーランスのお金と暮らしの話

実態貸借対照表をじぶんで作る、3つのポイント

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金融機関は、
「決算書に財務の本当の姿は表れていない」、「疑ってみよう」という意識を持って、決算書を独自に修正しています。

したがって、経営者が金融機関と対等に交渉するためには、どう修正されているのかを知ることが重要になります。

表目ではなく実態をみる
目次

決算書はウソをついている!?

決算書の前提知識

大前提として、税理士が作る決算書が間違っているわけではありません。
なぜなら、そもそも手元にある決算書は、「財務の本当の姿」を表すことを目的としていないからです。

では、決算書の目的は何か。
それは、公平な税金計算ルールに則って、正しく税金を算定することです。

本来、そのほかにも目的はありますが、
中小企業の顧問税理士は、最終的に申告書を作るために決算書を作っているため、自然と税金計算が目的となります。

要は、目的が違えばモノも違うということです。

なお、そもそも決算書がよく分からないという経営者さんについては、
別記事で決算書への苦手意識を克服するコツを紹介しています。

決算書が実態を表せないロジック

「目的は違うのは分かった、でも、なぜ実態とかけ離れた決算書になってしまうのか?」

ということは、気になりますね。

端的にいうと、

決算書は「予想」や「見積」をなるべく反映させたくない
金融機関は「予想」や「見積」をなるべく把握したい

というギャップがあるからです。

もう少し詳しく解説します。

例えば、商品在庫が100あるとします。
でも、この商品在庫は将来売れる可能性は1%くらいで、ほとんど回収が見込めない状況です。
ですので、全て処分して費用にしてしまいたいくらいだとします。

一方で、税金計算ではこのような事情があった場合でも費用にはできません。
なぜなら、税務署の視点としては、たとえ1%だとしても、確定していない費用は費用と認めたくないからです。

なぜなら、「予想」や「見積」の個別事情は、納税者が意図的に考えることができるからです。
この点で、公平さを重視する税金計算ルールでは「予想」や「見積」は排除されます。

一方で、金融機関はもし将来売れる可能性が1%しかないなら、
不良在庫だと認識し、処分される前提で決算書を修正します。

以上のような事情により、実態を表すことができない決算書は、金融機関で独自に修正されることになります。

なぜ実態貸借対照表が重要なのか

金融機関が、融資を判断する際の基準のひとつに、
資産超過か債務超過か、というものがあります。

文字通り、
資産超過は資産>負債の状態で、
債務超過は資産<負債の状態をいいます。

そして、資産や負債のバランスの状態は、貸借対照表という決算書の一部の書類をみればわかるようになっています。

なお、貸借対照表の基礎知識は別記事で紹介していますのでご参照ください。

資産超過と債務超過をイメージで表すと、以下のようになります。


資産超過は、稼ぎが溜まっている状態であるため、
金融機関の視点としては、資産超過のほうが会社に対する評価は高くなります。

続いて、債務超過のイメージです。

債務超過は、資産を全部換金して、その全てを負債の返済に充てたとしても、まだ負債が残る状態であり、
言い換えれば、
他人のお金で会社を運営している、ということになります。

当然のことながら、金融機関からの評価は低くなり、融資を受けられる可能性が低くなります。


一応、資産と負債を比べるときに、どの数字を見るのか、ということもお伝えします。

オレンジ色の枠の数値が、比較すべき資産と負債の金額です。

実態貸借対照表に修正するポイント

厳密には、貸借対照表にある全ての項目について、実態と乖離していないかを検証する余地がありますが、

今回は、特に、

①出没頻度が高い
②金額が大きい

修正ポイントを、3つのカテゴリーに分けてお伝えしていきます。

その1:役員とのお金のやり取りの実態反映

役員貸付金、役員借入金・役員未払金は、ほとんどの場合、金融機関で修正が入ります。

具体的に修正内容をみていきましょう。

■役員貸付金(資産から減らす)
会社から役員個人に貸し付けているお金です。

そのお金を、会社が役員から返済を受けることが想定されていない場合には、資産からマイナスされます。

なぜなら、回収できない不良債権であるからです。


■役員借入金・役員未払金(負債から減らす)
どちらも、一時的に役員からお金を借りている状態です。

役員借入金は、文字通り、役員と金銭貸借契約を結んで借り入れているお金で、
役員未払金は、未払いとなっている役員報酬や、精算していない役員個人が立て替えた経費があります。

これらの実態が、一時的な借り入れではなく、会社が返す目途や予定がない場合には、負債からマイナスされます。
負債からマイナスされる代わりに、資本だという整理をされます。

要は、返す予定のない役員からの借入は、資本金と同じ扱いにされるということです。

その2:換金性の実態反映

貸借対照表の資産の部に表示されている項目で、換金性がないものは資産として認められないため修正対象になります。

いずれも、資産から減らす修正内容です。

主な修正対象項目は、

・売掛金
・棚卸資産

と、

・前払費用
・繰延資産


です。

まず、最初の売掛金と棚卸資産の2つから詳しく解説していきます。

売掛金のうち架空の売上や回収不能な部分は、資産として認められませんので、修正対象になります。
棚卸資産も同様に、架空の在庫や売れない在庫があれば、資産として認められませんので、修正対象になります。


次に、前払費用と繰延資産です。

これらは、会計ルールで一時的に資産になっているだけで、換金性はないものであるため、修正対象になります。

その3:最新の価値の反映

この修正の対象となる資産は、比較的金額が大きいものであるケースが多いです。

代表的な資産は、

・土地
・投資有価証券

です。

これらは、決算書で買ったときの値段が記載されていているため、最新の価値(時価)が反映されていません。

したがって、その最新の価値(時価)に置き直す修正が必要になります。

特徴として、値上がりも値下がりもどちらも考えらえれるため、
資産に加える修正、資産から減らす修正、のどちらもあり得ます。

補足:貸借対照表に存在自体しない項目の反映

上の3つは、もともと貸借対照表に記載があって、実態への修正が必要な項目でした。

が、そもそも貸借対照表に記載がなくて実態を反映しなければいけないものもあります。

その代表格が将来支払うべき退職金の負債です。

役員や勤務期間が長い従業員がいれば、その退職金は大きくなることが予想されるため、
記載がない場合は金融機関で修正の対象になる可能性があります。

修正の調整方法

実態貸借対照表のイメージを添付します。

上記のポイントに沿って修正したしわ寄せは、右下の利益剰余金でまとめて調整されます。

資産の修正合計▲8,700は、資産が減り、金融機関評価はその分マイナス
負債の修正合計▲2,400は、負債が減り、金融機関評価はその分プラス

なので、利益剰余金の調整は▲8,700+2,400=▲6,300

ということです。

この実態貸借対照表では、

修正前は資産超過(資産24,100>負債18,400)であったにもかかわらず、
修正後は債務超過(資産15,400<負債16,000)になっています。

したがって、手元にある決算書だけみて、「うちは資産超過」だと安心はできない、ということです。

まとめ

今回は、特に金融機関の担当者が扱う実態貸借対照表をみてきましたが、
金融機関の言いなりにならないためにも、経営者自身も身に着けておきたい知識です。

実態貸借対照表をじぶんで作るポイントは次の3つです。

  • 役員とのお金のやり取りの実態反映
  • 換金性の実態反映
  • 最新の価値の反映

◆編集後記

今日は1月最終日。
とりあえず1ヶ月間、毎日ブログを続けれて安心しています。
まだまだこれからですが。

◆家トレ日記

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