【note】フリーランスのお金と暮らしの話

事業承継時の経営者保証のトレンド

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少子高齢化で後継者不足の現代では、
親子承継だけではなく、社員や社外の人間が後継者になるケースが増えてきています。

だからこそ、より後継者が引き継ぎやすい環境を整える必要性が増してきています。

借入は大事な味方
目次

経営者保証の問題

経営者保証とは?

経営者保証とは、会社が金融機関から借入を受ける際に、
経営者個人が会社の連帯保証人になることをいいます。

仮に、会社が倒産したときに、融資の返済ができない場合は、経営者個人が会社の代わりに返済義務を負うことになります。


金融機関の立場からすれば当たり前の制度です。

なぜかというと、株式会社などの法人では、仮に会社が倒産した場合であっても、
法人の経営者や株主に対して、その出資額以上の会社借入債務の返済を求められることはできないからです(これを「有限責任」といいます。)

これは、会社と個人財産は分離しているという考え方です。

それだと、金融機関は万が一(倒産など)のときに貸したお金を回収できないので、
金融機関が、安心して貸しやすいように経営者保証を付けている、ということです。

何が問題なのか?

経営者保証は、経営者個人が会社の借金の連帯責任を負いますので、
経営者には将来、多額の借金を負うリスクが伴います。

そこで問題視されていたのは、
経営者保証が、
経営者による思い切った事業展開や、早期の事業再生や事業清算、円滑な事業承継の障壁になっていることです。

特に事業承継の場面においては、
後継者が連帯債務を引き継ぐことに難色を示していたり、

または、
後継者候補が嫌がり後継者を確保できていなかったり、

という状況がありました。

【引用】経済産業省:事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策について
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/hosyoukaijo/2020/200204kaijo02.pdf

上の図を要約すると、

2025年に引退平均年齢(70歳)をむかえる経営者の約半分は後継者未定で、
そのうち約2割強は後継候補者から承継を拒否されており、
その拒否の理由の約6割は、経営者保証である。


ということになります。

そもそも、後継候補者自体がいない、という割合のほうが圧倒的に多いですが、
少なくとも、後継候補者がいるならば、事業承継を成功させることが重要です。

問題解決に向けたガイドライン

2014年2月適用開始:経営者保証に関するガイドライン

このような問題を受けて、
全国銀行協会と日本商工会議所が「経営者保証に関するガイドライン」を策定しました。
2014年2月から運用が始まっています。

「経営者保証に関するガイドライン」では、次の3要件の全部または一部を満たせば、
経営者保証なしで融資を受けられたり、
既にある経営者保証を見直すことができるとされました。

  1. 資産の所有やお金のやりとりが、法人と経営者で明確に区分・分離されている
    →金融機関から借りたお金を計画なく経営者個人に貸し付けていないか、など

  2. 財務状況や業績からみて、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
    →返済原資となる利益が適正に確保できている、など

  3. 金融機関に対して、適時適切に財務状況が開示されている
    →金融機関の要請に応じて、事業計画や業績の見通しをもとに透明性のある説明ができるか、など

ちなみに、「経営者保証に関するガイドライン」は、法的な拘束力を持ちません。
「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」と位置づけられています。

それでも、経営者保証がない融資の割合は年々増えていっています。

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/#guideline

2020年4月適用開始:事業承継時に焦点を当てた特則

「経営者保証に関するガイドライン」が適用された後も、解除できない会社にとって、経営者保証は円滑な事業承継時の障害となっていました。

そこで、中小企業庁は事業承継に焦点を当てた特則を公表しました。

この特則のポイントは以下のとおりです。

  1. 原則、前経営者と後継者の双方との二重保証契約は禁止
    →前経営者に対する保証を解除することが公平性を欠き、後継者から前経営者の保証の継続が要求された場合などを除き、二重保証契約は禁止

  2. 後継者との保証契約は慎重に、柔軟に判断
    →「経営者保証に関するガイドライン」の要件を満たしていない場合であっても、事業性評価(会社の将来性)などを考慮して、総合的に判断する
    →それでも後継者に経営者保証を求めることがやむを得ない場合は、保証金額や保証債務の効力条件の見直しを行う
    →さらに金融機関の経営者保証の解除を後押しするために、経営者保証を不要とする「事業承継特別保証制度(一定の方要件あり)」の活用を促す

  3. 前経営者との保証契約の適切な見直し
    →実質的な経営権・支配権があるといった特別な事情がない限り、いわゆる第三者となるため原則保証を求めない

結果的に、これらの特則や制度の利用によって、
前経営者と後継者の双方の経営者保証なしに事業を引き継ぐことが可能になりました。

中小企業はどうすればよいか


お国から、各金融機関に対して、
「経営者保証に関するガイドライン」に沿って運用するようにお達しされていて、

事業承継時の特則については、
金融庁が取組状況を調査・公表しています。

ですので、金融機関はその話題をされたら無下にはできないはずです。
経営者保証について気になる点があれば、
金融機関の担当者に一度お話されてみることをおすすめします。

また、顧問税理士がいれば事前に相談されてもいいでしょう。

詳しい専門家が身近にいなければ、公的な支援機関に相談することもできます。

独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する事業承継・引継ぎ支援センター

まとめ

私の実感としては、経営者保証が最も話題になる場面は、事業承継のときです。

ただ、

事業承継は経営者保証を解除できるタイミングでもある

ということはいえます。

そして、経営者保証を解除する動きは今後も拡大していくでしょう。
これは確実だと予想しています。

実際、つい最近も事業承継に限らず、
経営者保証に依存しない融資慣行を加速させる「経営者保証改革プログラム」が公表されています。
これについても、また別途整理できればと考えています。

◆編集後記

明日は朝から大阪出張。
ある程度ブログの準備してから出発します。

◆家トレ日記

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