【note】フリーランスのお金と暮らしの話

「経営者保証改革プログラム」で融資慣行は変わるか

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昨年2022年12月23日に、金融庁から、
経営者保証に依存しない融資慣行の確立をさらに加速させるための「経営者保証改革プログラム」が発表されました。

その概要と、経営者が今後意識すべきことを整理してみました。

ハンコも慣行
目次

「経営者保証改革プログラム」とは?

まず、経営者保証そのものについては、過去の記事でご紹介していますので、こちらをご参照ください。


この過去の記事では、特に事業承継の場面での経営者保証の動向についてお伝えしていますが、「経営者保証改革プログラム」は、スタートアップ・創業をはじめ、全ての事業を対象とする改革です。

「経営者保証改革プログラム」の概要

上記の過去の記事の通り、2014年2月から「経営者保証に関するガイドライン」の運用が始まっていて、経営者保証に依存しない融資の数は増えてきています。

今回発表された「経営者保証改革プログラム」では、さらにこの動きを加速させるために、
①スタートアップ・創業、②民間融資、③信用保証付融資、④中小企業のガバナンス、
と、重点的に取り組む施策を4分野に分けて策定しています。

そして、経済産業省・金融庁(内閣府)・財務省の連携による取り組みであるため、行政側もある程度力が入っている施策であると言えます。

「経営者保証改革プログラム」の4つの重点施策

4つの重点分野での施策は、以下のように説明されています。

①スタートアップ・創業の促進

→創業時の融資で経営者保証を求める慣行が創業意欲の阻害になっているため、その心理的ハードルを下げるために経営者保証を徴求しないスタートアップ・創業融資を促進させる

特に、公的金融機関へ働きかける施策として、

・創業から5年以内の経営者に対しては経営者保証を徴求しない信用保証制度の創設
・日本政策金融公庫等からの融資で、創業から5年以内の経営者に対して経営者保証を求めない制度の要件緩和

があります。

これらの運用や相談受付は今年2023年2月から順次開始となっていますので、今後起業される経営者にとっては朗報なのではないかと考えています。

②民間金融機関の保証徴求手続の厳格化と意識改革

金融庁の監督指針を改正し、各民間金融機関が経営者保証を徴求する際の手続きを厳格化することで、安易な保証に依存した融資を抑止するとともに、事業者・保証人の納得感を向上させる


→各民間金融機関に、「経営者保証ガイドラインの浸透・定着に向けた取組方針」を、経営トップを交えて検討・作成させ、公表させる

この②は①とは違い、特に金融庁から各民間金融機関に対する要請です。

今後、民間金融機関は、経営者保証契約を締結する場合には、
「どの部分が不十分なのか」、「どのような改善をすれば保証を解除できるのか」
を説明することはマスト
であり、その説明をしたことを適切に記録しなければいけません。

③信用保証付融資で経営者保証の機能を代替

→「経営者保証に関するガイドライン」の要件を満たしていれば経営者保証を解除する現在の運用を徹底


→その要件を満たしていない場合であっても、保証料の上乗せ等でカバーすることで、経営者が経営者保証の解除が選択できる制度を創設

つまり、保証料を上乗して経営者保証をなくすか、保証料はそのままで経営者保証を残すかの選択肢を経営者に与える制度です。

また、流動資産(売掛債権や棚卸資産)を担保とする融資に対する信用保証がある場合は、経営者保証の徴求を廃止することとしています。

これらの取り組みは、2024年4月から順次開始の予定です。

④中小企業のガバナンス(経営管理力)強化

→経営者保証の解除に対して、金融機関も事業者もを前向きに取り組めるように、そもそも中小企業の経営管理力を強化する


中小企業のために金融機関や支援機関が一丸となって支援態勢を整えよう、というものです。
この支援機関は、認定経営革新等支援機関を想定しているものと思われます。

今後中小企業が融資で意識すべきこと

事業成長担保権(仮称)の設定への動き

「経営者保証改革プログラム」は、従来までの融資では当たり前であった、
経営者保証や不動産の担保への過度な依存から脱却を図るものです。

その代わりとして、信用保証付融資の条件変更などでカバーする施策を上記の③でお伝えしましたが、

加えて、
企業の事業全体を担保に融資を受ける制度の実現に向けて議論が進められています。
簡潔にいえば、事業性に着目した融資です。

仮称ですが、この担保は事業成長担保権といわれています。

事業性による評価は、企業の決算書(財務状況)と担保の評価によるのではなく、その事業内容や将来性(いわゆる「非財務項目」)で評価するものです。

詳しくはこちらの過去の記事をご参照ください。

今後、融資の受けられるか、受けられないか、そして、融資の条件が
経営理念や事業計画がキーになる傾向は、益々加速していくのではないかと考えています。

経営者保証がなくなるわけではない

「経営者保証改革プログラム」は、従来の安易な経営者保証を見直すことを目的としているため、経営者保証という制度そのものがなくなるわけではありません。

ですので、事業者の立場としては、経営者保証はなくて当たり前、という意識ではなく、
金融機関が経営者保証がなくても安心して融資できるように、
会社の経営管理体制を整え、根拠ある経営計画を立てておく必要があると考えています。

まとめ

「経営者保証改革プログラム」のような、
中小企業が融資を受けやすくなるための、行政側から金融機関への働きかけはここ最近相次いでいます。

このチャンスを逃さないために、経営者としては、今後の動向を注視しながら、
金融機関と対等に交渉できるような準備を整えておくことが重要になります。

◆編集後記

最強寒波到来のタイミングで、
なぜか外出の予定が続きます。
仕事があるだけ有難いのですが、
インドア派は気合い入れていかないといけません。

◆家トレ日記

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