【note】フリーランスのお金と暮らしの話

大増税時代、サラリーマン家庭は生きていけないのか?

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こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

ここ連日、岸田政権の増税ニュースでSNSが賑わっています。

なかでもブーイングの的になっているのはサラリーマンに対する増税です。

まず初めにやり玉に挙げられたのは退職金への課税。

現行制度では、同じ会社に長く働けば働くほど受け取る退職金への課税は軽減されていますが、その軽減度合いを減らして退職金に対してより多くの税金をかけようとする動きがあることが報道されました。

そして、最近になって話題になっているのが通勤手当や社宅の貸与への課税。

現行制度では、これらは「働くために必要不可欠な支給で、贅沢をしているわけではないから税金はかけない」という趣旨で、一定の金額は非課税とされています。

が、そこに対してやっぱり税金をかけることを検討すべきではないか、という動きがあるということです。


ただ、増税すると決まったわけではなく、もっというと、岸田さんが「その方法で増税しよう」と言っているわけではないんですね。

現時点では、政府の求めに応じて、政府に対して参考となるべき意見を言う機関が「こういうことも考えていく必要がありますね」と提言したレベルです。

なので今後は、その提言を受けて岸田さんがどう動いていくかを気にしなければいけないことになります。

岸田さん風にいうと、「見直しの検討がされる可能性がある」といった感じでしょうか。


で、重要なのは、上記の検討はいずれも、伝統的なサラリーマン家庭に対して課税を強化しようとする動きであるということです。

伝統的なサラリーマン家庭とはいわゆる、夫が終身雇用で同じ会社で働いて奥さんと子どもを養うという、あるあるの家庭をイメージしていただければと。

というと、もう伝統的なサラリーマン家庭は生きてけないのか、専業主婦の配偶者を働かせないといけないのか、もしくは起業しないとじゅうぶんな暮らしはできないのか、という不安が湧き起こるかと思います。


結論からいうと、伝統的なサラリーマン家庭だけが狙い撃ちで増税される、ということはなく、サラリーマン家庭であるからこそ受けられる税負担の軽減が全て排除されることもない、と考えています。

今回は、その理由と伝統的なサラリーマン家庭が今後どのように増税時代を生きていけばいいのか、ということを考えていきます。

目次

サラリーマン家庭が終わりではない理由

先にお伝えておきたいのは、今回のようなサラリーマンへの増税ニュースを聞いて、反射的に「もうサラリーマンはダメだ」と思う必要はない、ということです。

その理由をお伝えします。

① サラリーマン家庭だけが増税のターゲットではないから

まず、知っておかなければいけないのは、政府や、政府に税制の提言をする税制調査会が、「多様な働き方に対応するため」や「社会構造の変化に対応するため」といった大義名分を掲げて税制を変えようとしている、ということです。

なので、多様化する働き方によって、税負担が軽くなる、税負担が重くなるといった不公平を避けるために課税ルールを変更しようとしている、ということなんですね。

だからこそ、伝統的なサラリーマン家庭だけが増税の対象になるのではなく、共働き世帯や個人事業主(フリーランス)世帯も増税の対象になっているといえます。


ここで覚えておかなければいけないのは、いつの時代だって、税制の改正は「出る杭は打つ」がセオリーだということです。

なので、働き方の多様化で税や社会保険の負担を抑えることを狙う人が増えてくれば、規制は厳しくなります。

実際、起業して個人事業主になったり、会社を設立したりして稼ごうとする人のなかには、税や社会保険の負担軽減を狙っている方も多くいます。

むしろ、今は時流的に起業を活用した節税策に関する記事や動画が出回っていて、それに飛びつく方が多くいるので、今後はそちらの規制も厳しくなってくるのではないかと予想しています。

直接的な増税ではありませんが、電子帳簿保存法やインボイス制度も、小さな事業者に適切な納税を促すためにルールを新たに作った、という意味では規制は厳しくなっているといえます。


そうはいっても、現代は「個」の時代と言われて久しく、今後も働き方が多様化するのは間違いないでしょう。

その過程で課税のアンバランスが出てきた場合は、税制(政府)はその時流を追うように正していくことになります。

裏を返せば、昨今の動向に関しては、伝統的なサラリーマン家庭が働き方の多様化の煽りを受けてしまっている、ともいえます。

② 政治的にサラリーマン家庭を狙い撃ちできないから

冒頭に紹介したとおり、退職金課税の見直しのニュースがあります。

現行制度では退職金に対する課税は、長く働けば働くほどおトクになって、通常の給料に比べてだいぶ税負担が軽くなっています。

で、この恩恵を受けているのは定年まで同じ組織で働き続ける、いわゆる終身雇用型の人になるわけですが、その代表例が官僚やその他の公務員です。

官僚の天下りで問題になった退職金を活用した節税は、過去に何度か改正されてある程度制限されるようになってきましたが、今回検討されている見直しはもっと広い官僚や公務員が影響を受けることになります。

もちろん、一般企業の会社員も同じ影響を受けます。

ですが、本当に退職金課税の見直しがされることになった場合、真面目に国に尽くしてきた官僚や公務員から反対の意見が出ることになるでしょう。

その反対の意見が、われわれ一般市民の見えるところで出されるのか、見えない「裏」で出されるのかはわかりません。

いずれにしろ、政権がそれらの意見を抑えて課税のルールを変えることができるのか、というと決してハードルは低くないはずです。

もっというと、退職金課税だけではなく、通勤手当や社宅の貸付だって、官僚や公務員が非課税の恩恵を受けているので、これらにメスを入れることは官僚や公務員からブーイングを受けることは必至です。


極端な言い方をすれば、サラリーマン家庭に増税しようとしても、そのあおりを受ける官僚や公務員が政治に与える影響力が強いことによって、結果的に一般サラリーマン家庭が守られる、という可能性はじゅうぶんにあり得るといえます。

サラリーマン家庭がとるべき道

先ほど、いまは「個」の時代で働き方の多様化が進むといいましたが、何も起業だけが正解ではありません。

会社員として働きながら、奥さんが専業主婦で家庭を守るという伝統的な家庭像が一番幸せな人もいるでしょう。

そして、上記で説明したとおり、そのようなサラリーマン家庭に対して配慮がされている税や社会保険の負担軽減のルールだけが狙い撃ちで撤廃される、という可能性は少ないかと。

ですので、無謀な起業するくらいなら、会社員のままいたほうが安定的ですし、お金も貯まるかと思います。

ただ、安定にプラスαの収入を求めるのであれば、会社員のまま副業に挑戦することをオススメします。

副業で小さく小さく事業をはじめて育てながら、税制の改正を動向を探ってみてもいいかもしれません。

0→1で起業するのは、時間とお金に余裕があれば、の話でよいかと。

今回のように、サラリーマン増税の検討がニュースになったからといってすぐにサラリーマン家庭では生きていけない、という結論になるわけではありません。

そもそも、サラリーマン家庭もひとつの働き方です。

また、一昔前までそれが当たり前だったのがすぐさま否定され、その選択肢をとることが許されないくらい増税の舵を切られることはないと考えています。

まとめ

今回は、いま報道されているサラリーマン増税のニュースについて、「すぐさまサラリーマンが生きていけなくなるわけではない」ということをお伝えしました。

  • 増税は、サラリーマン家庭だけが狙い撃ちされているわけではない
  • サラリーマン家庭の税負担軽減ルールが完全に撤廃される可能性は極めて低い(縮小はありえる)
  • サラリーマン家庭は増税の動向を見極めながら、小さく副業をはじめるべき

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