【note】フリーランスのお金と暮らしの話

税理士から時間と安心を買う、という発想

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こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

先日、こちらの記事で経営には攻めと守りのバランスが大切、ということをお伝えしました。

今回は、このうち守りの部分を詳しく書いていきたいな、と。

いまお伝えした記事のなかで、守りとは、経営者が「お金と時間を管理業務のために使うこと」で、具体的には、「決算、申告、経理、融資、資金繰りなど」とお話ししています。

そして、事業者の方であれば、これらの管理業務のために、税理士と「仕方なく」顧問契約をしている方が多いのではないでしょうか。

それもそのはずで、管理業務はしなければいけないもの、という意味合いが強いからです。

でも、せっかく顧問料を払うなら、「仕方なく」ではなく、「こんなに得なんだ」という感覚で払うほうが断然良いはずであり、そう思わせてくれる税理士とお付き合いすべきだと思います。

ですので、

  • なぜ税理士が必要なのか、いまいちピンと来ていない
  • 経営の守りの部分で税理士をもっと活用したい
  • 税理士が何を考えているか分からない

という方に、

  • 税理士はこんなことができるんだ
  • 税理士はこういうふうに活用できるんだ
  • 税理士はこんな目線で数字をみているんだ

ということを、この記事を通じて分かっていただければと。

目次

時間を買うことができる

冒頭の記事でもお伝えしていますが、私は、会社全体としては、攻めと守りのバランスを均等にとるべきだと考えています。

が、業務時間は攻め7割、守り3割が理想的だと、というのが持論です。

なぜなら、経営者や社員の本来の役割は、商品サービスをお客様に届けて売上を獲得すること(攻め)だからです。

この攻めに集中できる時間が多ければ多いほど、会社の状態は良くなっていきます。

対して、決算、申告、経理、融資、資金繰りといった守りはどうかというと、直接売上には貢献しない業務ですよね。

直接売上には貢献しないけど必要なこと、はできるだけ誰かに任せて、直接売上に貢献する時間をできるだけ確保することが会社の発展に必要不可欠といえます。


あとは、守りの業務は専門知識が必要です。

財務や税務の知識を”使える”レベルで習得するには、数日単位ではなく、数年単位で文字通り人生をかけなければいけません。

大袈裟に言っているのではなく、そもそも国家試験に受かるレベルの学習に加えて、インボイスや電子帳簿保存法といった最近のトレンドから分かるとおり、毎年複雑化するルールに対応しなければいけないわけで。

いったい、その数年単位の時間があったら経営者や社員はいくら売上を獲得することができるでしょうか?

数年あれば、新しい商品を開発したり、新しい取引先を見つけたりすることができるはずです。


で、税理士と顧問契約を結ぶと、その数年単位以上の知識を借りることができるわけですが、大抵の場合、月額顧問料が発生します。

たとえば、月額5万円の場合、経営者や社員が決算、申告、経理、融資、資金繰りをする代わりに、5万円以上の売上が獲得できるなら払う価値がある、ということになります。

時給換算するとより分かりやすいかと。
経営者の方は、ご自身の時給はどれくらいに設定されていますでしょうか?

経営者であれば、少なくとも時給1万円の働きはしているはずです。
会社の責任を全て背負って時給数千円、ということはないと思うので。

そうすると、月額顧問料が5万円の場合、経営者自身が毎月5時間で決算、申告、経理、融資、資金繰り等々の業務が適切に、かつ正確にできるかどうかで、コストパフォーマンスの良し悪しは決まります。

できるのであれば5万円を払う必要はありませんが、できないのであれば毎月5万円払ったほうが「お得」ということになります。

安心を買うことができる

税理士と顧問契約をすると、時間に加えて安心も買うことができます。

なぜなら、税理士は決算書や申告書をつくるだけではなく、財務状態が大丈夫か、資金繰りに不安要素はないか、を把握して経営者に伝えることができる職業だからです。

「いやいや、うちは大丈夫だろう」と思う方であれば、一度、自社の決算書をみながら下の図を書いてみていただければと。

西順一郎氏が著書「戦略会計STRACⅡ」で紹介するSTRAC表(現・MQ会計表)をベースに、和仁達也氏が考案した「お金のブロックパズル」です
  • 売上を求めます
  • 売上に応じて増減する変動費(仕入れや原価)を求め、売上から変動費を引いたものが粗利になります
  • 固定費(人件費、地代家賃など)の全体額を求め、粗利から固定費を引いたものが利益になります
  • 固定費を人件費とその他の固定費(地代家賃、広告宣伝費、減価償却費など)に区分します
  • 利益から支払われる税金を求め、利益から税金を引いたものが税引後利益になります
  • 税引後利益に減価償却費(お金の支出を伴わない費用)を足し戻します
  • ⑥から銀行借入の返済額と設備投資額を引いたものが、繰越金になります


最後の繰越金は、一年間の営業活動で手元に残るお金、です。

つまり、繰越金があれば、その分だけ儲かっている、ということを意味します。

この図を正確に書けるようであれば、会社のお金の流れの全体像そのものは大まかに理解できているため、税理士から毎月試算表で数字の推移を教えてもらえれば、大丈夫かもしれません。

いっぽうで、この図が正確に書けないようであれば、会社のお金の流れの全体像を把握できていない、ということになります。

そうすると、最後の繰越金を正確に把握することができないので、一年間で手元のお金が増えたのか、もしくは減ったのか、さえ分かっていない、といえます。


会社というのは、人が全員辞めても、商品在庫がなくなっても、得意先から全取引を停止されても倒産することはありませんが、資金がなくなったら倒産します。

ですので、この図が書けない、若しくは精度に不安がある、ということであれば税理士のような専門家に、財務分析や資金繰り計画を手伝ってもらうことはマストだと考えています。

会社の財務の健康をお金で買う感覚です。


また、数字を適切に把握できていると、ヒトやモノにお金を使う、いわゆる「攻め」の段階で、いくらまで出しても大丈夫なのかを知ることができます。

要するに、採用や設備投資や広告といった判断を、数字の裏付けに基づいて行うことで、失敗を未然に防ぐことができる、ということです。

値上げや値下げの判断も同じですね。

たとえば、販路開拓が必要、という場面で、マーケティングコンサルタントに依頼して、たくさんの広告を出すときに、そのコンサルタントに適切な予算を伝えることができるでしょうか。

ここでいう適切な、とは、可能な予算の範囲内で最大限の効果を出せる金額、ということです。

もし、コンサルタントに追加で100万円必要です、と言われたら、YesなのかNoなのかを考えなければいけませんが、それには正確な根拠が必要です。

100万円出したら数か月後の社員給料が払えないのにYesで進めてしまうと、販路開拓がうまくいくどうこうの話ではなくなります。

反対に、守りに走って、何となくNoと答えたとしても、それが正解とは限りません。

なぜなら、実は経営者が思っている以上に資金に余裕があって、コンサルタントの言うとおりに追加で100万円を出せば、1,000万円の売上を獲得できたかもしれないからです。

つまり、「攻め」をしたらダメなのにしてしまう失敗と、「攻め」をしなければいけないのにしない失敗の両方を未然に防ぐのが、財務の力であり、税理士の役目だといえます。


最後に、お金を守る、という意味で、税務署から税務調査があったときに、調査官が言っている内容を、そのまま鵜呑みにしていいか、という問題があります。

実際のところ、全て鵜呑みにして、払わなくてもいい税金を払ってしまうケースというのは存在します。

しかもそれは、調査官も悪気があったわけではなく、会社が適切に説得できていれば問題はなかったということは往々にしてあるわけで。

ですので、調査官に対して面と向かって説明できる、そんな安心材料として税理士を活用してもらえればと思います

せっかくなら「攻め」もできる税理士と

今回お伝えしたように、税理士から時間と安心を買って「守り」を固めることができますが、一般的な税務顧問契約はこの「守り」の支援であることがほとんどかと思います。

ですが、税理士に「守り」だけ任せるのは勿体ない、というのが持論です。

なぜなら、税理士は会社の全ての数字を把握していて、先ほどお伝えしたとおり「攻め」を成功させる確率を高めることができる存在だから。

要するに、会社の財務やビジネスモデルを全て掌握しているなら、同時に「攻め」のパートナーとしても付き合うことで、経営者は一石二鳥の効果を得られる、ということです。


経営における「攻め」とは「お金と時間を売上獲得のために使うこと」を意味します。

そのためには、お金を時間をどこに、どれくらい使えば売上を獲得することができるのか、を整理した経営計画が必要になります。

ですので、経営計画は「攻め」のスタートともいえます。

また、経営計画があることで、資金調達や補助金の申請に有利に働きます。
お金を調達することができれば、「攻め」ることができますよね。

そして、経営計画をつくるだけでは意味がなく、売上を獲得するためにどうやって商品を展開していったらいいのか、どういうアピールをしていったらいいのか、というマーケティングが必要になります。

通常であれば、いまお話しした経営計画の策定、資金調達、マーケティングまでは、税理士ではないコンサルタントに依頼するケースが多いのではないでしょうか。

つまり、

  • 経営の「守り」である決算、申告、経理、融資、資金繰りなどの担当:税理士
  • 経営の「攻め」である経営計画の策定、資金調達、マーケティングの担当:コンサルタント

の役割分担が主流だということです。

でも、これら2つを税理士がワンストップで担うことができたら、コストパフォーマンスもタイムパフォーマンスも良いはずです。

そこで、税理士である私が支援する、経営計画の策定、資金調達、マーケティングとは、いったいどんな内容で、どんなメリットや効果があるのか、を別の記事でまとめていきたいと思います。

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