【note】フリーランスのお金と暮らしの話

心理的安全性には闇がある?

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こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

いまって、昔から比べたらパワハラに対するコンプライアンス意識がだいぶ高くなりました。

圧迫面接をしたり、職場で暴力するような事態があれば、誰かがSNSに流して炎上する可能性だってあるので、そういった事態そのものは減っているのではないかと思います。

まあ、いまだに昭和の文化が残っている企業も健在だとは思いますが。

こういったパワハラは悪だという機運で注目されたのが心理的安全性という言葉です。

心理的安全性とは、Googleがチームマネジメントで重要視している考え方で、簡潔にいうと、誰かから批判されたり、否定されたりすることに怯えることなく、自分をさらけ出すことができる環境をいいます。

Googleはこの心理的安全性が成果にどのような影響を与えるかを研究し、心理的安全性があるチームのほうが生産性が高いと結論付けて、世界から注目を浴びたわけです。


で、この心理的安全性は、パワハラがなくなり、ストレスフリーな職場環境ができて、一見メリットだらけに見えるかもしれませんが、使い方を誤ると成果が上がらない組織ができあがってしまうことに注意しなければいけません。

この心理的安全性の闇に拍車をかけているのが、慢性的な人材不足です。

せっかく採用できた人材をなんとか引き留めようと、働きやすい環境を整えるために心理的安全性を心がけるわけですが、そうすると、生産性が高くなるどころか、低くなるような事態も発生しています。


ということで、心理的安全性は間違った使い方をしないように注意しながら運用していく必要がありますので、今回はその辺りの話をしていきます。

目次

”働きやすい職場”は要注意

心理的安全性を重視する場面では、相手になるべく精神的なダメージを与えないようにしよう、という意識が働きます。
それはもちろん、相手が自分をさらけ出しやすい環境を整えるため、です。

注意しなければいけないのは、この意識がいつの間にか会社組織に悪影響を及ぼしている可能性があること。

たとえば、仲は良いけど、逆に仲が良すぎることで、社長が社員に気を使って注意や指示ができないケース。

部下がミスをしたとしても、落ち込ませたくないから黙っていたり、責任のある業務を任せたいけど、忙しく働かせるのが怖いから躊躇してしまったりすることはありませんか?

これでは、指揮系統がうまく機能してないですよね。


さらに厄介なのが、心理的安全性を悪用されるケースです。

どういうことかというと、与えられた仕事をしなくても、心理的安全性があるから怒られないだろう、と都合のいい解釈をして、自分の責任を放棄する、というようなことが起こります。

ミーティング中に頓珍漢な発言をしても怒られないのなら、もはや発言もしなくてもいいや、ドタキャンしてもいいや、と甘えてしまう人がいるんですね。


で、個人的にはこういったケースは巷で多く発生していると思っていますし、実際に見聞きします。

ある意味、慢性的な人材不足で”働きやすい職場”が重要視されるようになったことによる弊害、ともいえます。


でも、こういったケースは明らかに心理的安全性の本来の目的を見失っています

この図を見てください。
これはマズロー安達さん(@maslow_design)がTwitterで投稿されていた図です。



私が何が言いたいのか分かっていただけたかと。

つまり、いまお話しした、指揮系統が機能していないケースや、悪用されるケースは、右寄りの傾向が強いときに起きてしまうと、いうことです。

このとき、心理的安全性は本来の目的を見失い、人間関係重視になってしまっています。

端的にいうと、みんなで仲良くしようが、目的になってしまっているんですね。

もちろん、会社ではなくて、同じ趣味の集まりや、ボランティア活動の集まりだったら、それでも別に問題ありません。

むしろ、そういった集まりは、みんなで仲良くワイワイすることが本当の目的ですから。

でも、営利組織である会社で発揮される心理的安全性の本来の目的は、人間関係を重視することではなく、売上や事業拡大といった成果であるはずです。

要するに、上の図でいうとパフォーマンの山が一番高い真ん中になるように、職場環境や人間関係を整えるのが心理的安全性の本来の目的だということです。


”働きやすい職場”は、一時的には社員からの評価は高いかもしれませんが、それが成果に繋がっていなかったら経営は厳しくなりますし、やりがいを求める社員からは物足りなく感じられてしまうかもしれません。

ポイントは外的環境×内的環境

では、なぜ心理的安全性の本来の目的を見失う事態になってしまうのか、ということを考えなければいけません。

裏を返せば、上の図で言うと、どうやったら真ん中にある「健全な意見の衝突」や「意義ある仕事と働きがい」が生まれる状態になるか、ということです。

この点で注目すべきなのは、人間は思考や感情から行動する生き物だということ。

要するに、人間関係という外的環境を整えるだけではなく、人間の脳内で渦巻く内的環境を整えることが必要になります

先ほどお話しした、社長が社員に気を使っているケースも、都合の良い解釈で悪用されるケースも、「健全な意見の衝突」をしたいという感情や、「意義ある仕事と働きがい」を求める思考がなければ成果は上がりません。

こういう思考や感情が無いなかで、居心地の良さだけを極めていってしまうと、「成果より人間関係重視」になってしまいます。

で、この思考や感情は、次の3つの視点から考えると、整えやすくなります。

1つ目は、目的の明確化です。
なぜその仕事を社員に任せる必要があるのか、や、なぜミーティングをしているのか、という目的がちゃんと定まってなくて、「なんとなく」だったら成果を上げようとする言動はおきません。

この目的は、ある意味、問題意識の設定ともいえますね。


2つ目は、目標の明確化です。
その仕事を社員に任せて、社長はどこを目指したいのか、や、ミーティングでどんな結論を導きたいのか、という目標を定めておく必要があります。

この目標は当時者にとってメリットを感じられるものであるとより効果的です。

たとえば、社長の仕事の一部を他の社員に任せることで、社長が取引先との関係性づくりに使える時間が増える、といったように。

ミーティングの場においても、導き出す結論を実行することによって、社員がより働きやすい職場になったり、お客様からより感謝されたりする、ということが分かっていると、より成果を求めるモチベーションが湧きます。


最後の3つ目は行動指針の明確化です。
これがある意味、過度な働きやすさや仲の良さのストッパーになります。

たとえば、簡単な例でいうと、「報連相」を行動指針にしたとします。
そうすると、本来発言しなければいけないミーティングでボケェっとしているわけにはいかなくなりますよね。

この行動指針は、いわば目的や目標を達成するための規範であるともいえます。

で、肝心なのは、行動指針の明確化はその組織に所属しているメンバー全員で行うことです。

というのも、過度な働きやすさや居心地の良さのストッパーになるためには、自分の言葉で自分を律する必要があるからです。

店舗ビジネスで例えるなら、店舗という現場で守るべきこともあるし、営業担当が守るべきこともあるし、総務担当が守るべきことがあって、それぞれ違いますよね。

それが、自分の業務や立場を良く知らない他人(上司含め)から押し付けられた行動指針だと、反発が生まれてしまうのは容易に想像できるかと。

このように、心理的安全性の本来の目的である成果を生むためには、メンバーが自分の意見を忖度なく伝えることができる環境を整えながら、成果を求める思考や感情を明確にすることが必須になります。

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