【note】税理士のアタマの中

歯科開業の融資と運転資金|後悔しない事業計画の作り方

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こんにちは、島田(つぶやきはこちら)です。

歯科開業の融資の申し込みを控えた先生にお伝えしたいことがあります。

運転資金が潤沢になるように融資を組んでください。
逆をいうと、建築費(内装費)や医療機器代金はそこまで気にする必要はないです。

もちろん、建築費(内装費)や医療機器代金は金額が大きいから目立ちます。
見積もりをもらう度に緊張もするでしょう。
「これだけの融資を受けて大丈夫だろうか」と考え込む先生も多いでしょう。

でも、内装費も医療機器代金も、業者からきっちり見積もりが出ます。
その金額を融資計画に組み込めばそこまで問題になることはありません。

金額は大きいかもしれませんが明確なので、足りないというミスが起きにくい構造になっています。

本当に怖いのは、運転資金です。

運転資金こそ、「いくら必要か」が明確に出にくいです。
流動的で、見落とされやすく、足りなくなったときに最も困る財源でもあります。

この記事では、なぜ運転資金がそれほど重要なのか、そして開業前にどう手を打てばいいかをお伝えしていきます。

目次

内装費・医療機器代金は二の次で良い理由

まず、歯科開業にかかる主な費用を整理しておきます。

  • 内装・建築工事費
  • 歯科ユニットなどの医療機器購入費
  • 広告・ホームページ制作費
  • 開業前後数ヶ月の人件費その他固定経費

このうち上から3つの費用は、工事業者、ディーラーや業者さんから詳細な見積もりが出ます。
数千万円規模になることも珍しくありませんが、「いくらかかるか」は開業前にほぼ確定します。

金融機関も金額感は割と事前情報で知っています。
設備資金として融資する金額は見積書を根拠に決まるので、審査のプロセスで弾かれるということはほぼあり得ません。

一応申し添えておきますが、設備関係の資金調達が簡単だと言いたいわけではありません。

「必要額が明確に算出できる」という点で、運転資金とは根本的に性格が違うということです。

後悔しない事業計画の作り方

設備資金と運転資金の違い

では、運転資金の何が特殊なのか。

歯科医院を開業しても、患者さんが来院した日にすぐ全額が収入になるわけではありませんよね。保険診療の場合、レセプトを月末に請求し、実際の入金は約2ヶ月後になります。

開業した月に一生懸命診療しても、その売上が口座に入るのは2ヶ月先。その間にも、固定費は毎月確実に出ていきます。

  • 歯科衛生士・受付スタッフの給与
  • テナントの家賃
  • 医療機器のリース料
  • 光熱費・消耗品費
  • 院長先生ご自身の生活費

などですね。

より危険なのは開業直後に追加で大きなお金が必要になる可能性が高いことです。

開業直後に歯科衛生士さんが離職して再度採用が必要となれば、採用費の支払いが増えます。
物件に追加工事や修繕が必要となれば、工事費用の支払いが増えます。
施設基準をとるための追加投資がとなれば、設備投資の支払いが増えます。

患者数がゆっくり立ち上がっていく中で、固定費だけが先行して出ていく。
この「売上は入ってこないのに支出だけが続く期間」を現金で乗り切れるかどうかが、開業の明暗を分けます。

そして厄介なのが、運転資金の必要額が事前にはっきり計算できないという点です。

それはなぜか。

開業前後の費用の発生が流動的だからです。

スタッフの雇用開始時期が1ヶ月ずれれば、給与の発生タイミングが変わります。開業日が前後すれば、保険請求の入金サイクルが変わります。

そして何より、ユニット数やスタッフ数が同じであっても医院のスタイルによって必要な運転資金は変わってきます。

このように変数が多すぎて、「運転資金はちょうど○○○万円必要です」とは言い切れないのです。

だからこそ、余裕を持って確保することが必要になるのです。

2〜3年後より2〜3ヶ月後の事業計画

開業の事業計画書を作るとき、多くの先生が開業後2〜3年の売上予測や損益計画まで立てます。

銀行も当然その数字を見ます。

ただ、正直に言うと、開業後2〜3年の予測数値で融資の可否が大きく変わることはほとんどありません。

歯科開業の事業計画書では、「右肩上がりの計画」しかあり得ません。3年後に黒字になる計画を出さない先生はいない。そこでは差がつかないのです。

本当に気を配る必要があるのは、開業後2〜3ヶ月の資金繰りが現実的に組めているかどうかです。

具体的には、以下の3点です。

① スタッフ雇用開始時期と給与発生のタイミング

歯科衛生士を開業1ヶ月前から雇用すれば、その時点から給与が発生します。内覧会スタッフの手当、研修費用なども開業前から出ていきます。開業前からの支出をきちんと計上しているかを把握しましょう。

② 保険請求入金までの2ヶ月ラグ

開業1ヶ月目の診療分が入金されるのは3ヶ月目です。この空白期間に必要な現金がいくらか。毎月の固定費の2〜3ヶ月分を最低限確保できているか。

ちなみに、人件費以外のその他固定費(たとえば水道光熱費、通信費、消耗品費、研修費など)を見積もることが難しいという声もよく聞きます。

この点は必要なリストを一つずつしらみつぶしにしていくしかありませんが、島田の経験上、人件費と同程度のその他固定費を見積もっておけば、大きく外れることはありません

歯科衛生士さん、歯科助手さんの毎月の人件費が100万円ならその他固定費を100万円に設定して収支シミュレーションをしてみるということです。

③ 想定より患者数が少なかった場合のシミュレーション

計画通りに患者が来なかったとき、何ヶ月耐えられるか。
想定の半分くらいの患者数だった場合に、クッションが融資計画に組み込まれているか。

この3点を突き詰めることで、「いくら運転資金が必要か」の根拠が生まれます。根拠のある数字をもって金融機関と交渉することが、融資を有利に進める最大のポイントです。

万が一の場合は「別枠の短期融資」

もし、開業融資で運転資金の確保が不十分だった場合の話もしておきます。

開業費とは別枠で、短期の運転資金融資を数百万円受けるという方法があります。

必ず融資をしてくれるとは限りませんが、金融機関との信頼関係が構築できていれば、信用保証協会を使わないプロパー融資で対応できるケースもあります。

プロパー融資は保証料が不要なのでその分使えるキャッシュが増えます。

金融機関の立場的には、短期ですぐ返してくれるなら柔軟な対応をしますよ、というスタンスがあるから実現します。

ただし、これはあくまで「万が一のときの選択肢」です。

追加融資の交渉は、最初から運転資金を計画に組み込んでいた場合と比べて、手間も時間もかかります。

はじめから盤石な状態で臨めるのがベストであることは言うまでもありません。

まとめ

内装費や医療機器代金は金額が大きいので、そこばかりに目が行きがちです。

でも、最後につまずくのは運転資金の部分だという話をしてきました。

そして後悔しない融資を受けるための事業計画の作り方をお伝えしましたので、ポイントをまとめていきます。

  • 設備資金と運転資金のそれぞれの特徴を理解する
  • 事業計画は年単位ではなく月単位で収支シミュレーションをする
  • 固定費の全体額が分らない場合は、人件費:その他固定費=5:5で計算してみる

以上を意識してみてください。

そもそも収支全体の構造から一緒に考えて欲しい。
固定費で見落としている項目がないか一緒にチェックして欲しい。
金融機関から提案された融資プランで良いのが一緒に検討して欲しい。

という方は、LINEからメッセージを教えてくださいね。

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