こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。
以前、こちらの記事で「商品の価格や性能ではなく、世界観や価値観で顧客を魅了することが求められている」ということを伝えました。

ただ、この記事では、マーケティングの教科書的な話がメインで、「島田はなぜそう思うのか」という私の主観的な要素はほとんどなかったので、その辺りをお話ししようかと。
で、結論からいってしまえば、私の実体験が理由になっています。
つまり、「商品の価格や性能」だけを伝えられて困った経験をし、「世界観や価値観」に惹かれて商品を買ったら良い経験をした、ということなんですね。
ということで、その体験はどういうものなのか、ということをお伝えしていきます。
読んでいただいて、共感できる部分もあれば、共感できない部分もあるかと思います。
共感できない部分については、それも私の「世界観や価値観」だと思っていただければと。

“理詰め”ではオススメできない
少し話は変わりますが、私は独立後、いろんな勉強会や交流会に参加しました。
一度参加して、それ以降関わらなくなったものもあれば、いまも繋がっているものもあります。
このうち関わらなかくなったあるグループは、特定の業種に絞っているわけではなく、いろんなビジネスをする人が集まっていて、半ば「人種のるつぼ」化していました。
ということもあり、参加者の商品やサービスを売ることに対するスタンスも多種多様でした。
その中のある士業の方から、一緒にセミナーをやらないか?というお誘いを受けました。
その方は人事系が専門分野だったのですが、そこに会社のお金という話が一緒にできれば面白いのではないか、ということで、私にリクエストをいただいた、という経緯です。
まあ、人も金も、会社にとっては重要な経営資源ですから、その両方をテーマにしたセミナーはやる価値はあります。
ということで、さっそく打ち合わせ、ということになったのですが、そこで相手に違和感があったんですね。
どういうことかというと、「うちはこんなサービスを売ってます」、「こんなふうに人事評価レポートが出力できるからか関与先にススメてくれまえんか?」、「こんな細かい分析ができますよ」という話を永遠と聞かされたことに、もうこの人とは関わりたくないな、と思いました。
なぜなら、商品が良いのは分かるけど、その人を好きになれなかったから。
別の言い方をすれば、人間性に共感できる機会がなかったから、ともいえます。
その商品を使って、「こういう悩みがある人の問題を解決してあげたい」とか「こういう目的があってビジネスしている」ということが伝わってこなかったんですね。
欲をいえば、協業して一緒に仕事をするくらいなら、ビジネスで稼いだお金で何をしたいのか、という人生観的なことも共有できてもよかったはずです(一回の打ち合わせでは難しいでしょうけど)。
これを言うと、「そんなキレイごとを知って何になるんだ」と思われる方もいるかもしれません。
確かに、キレイごとに聞こえるかもしれませんが、私にとってみれば極めて現実的な判断材料です。
というのも、その商品はその方だけが取り扱っているわけではないので、このキレイごとの部分が分からないと、その人から買うのがオススメ、ということ言える理由がないからです。
皆さんはいかがでしょうか?同じ商品を同じ価格で取り扱っているお店があったときに、多かれ少なかれ最終的には「人」の部分で判断しませんか?
世界観や価値観は人を引き寄せる
ここからは逆に、人間性に共感した経験をお話しします。
「引き寄せの法則」とか、そういったスピリチュアル的な話は抜きにして。
少しビジネスから話が逸れますが、私は筋トレをはじめるにあたって、まずYouTubeで参考になる動画がないか探しました。
その時点で何人か、いわゆる「筋トレYouTuber」はいたのですが、最終的にたどり着いたのはこの人。
https://www.youtube.com/@METVLO
もしかしたら、「メトロンブログ」という名前程度は聞いたことがある人もいるかもしれません。
チャンネル登録者数は77万人いるので、そこそこのインフルエンサ―です。
で、チャンネル内の動画をみていただいたら分かるかと思いますが、彼の特徴は筋トレ動画だけじゃないんですね。
分かりやすいのが旅ブログ動画。
いまは更新が少なくなってしまいましたが、海外旅や海外生活にフォーカスをあてた別チャンネルもあります。
https://www.youtube.com/@city_nest290
あとは、彼の生い立ち、いままでの経歴、そして人生の目的や目標を語っている動画もたくさんアップされています。
何が言いたいのかというと、筋トレの効果とか、筋トレのメニューの紹介だけではないんですね。
むしろ、彼の人間臭さが剥き出しになっている動画のほうが多いかもしれません。
そういう人間臭さの動画をみてるうちに、筋トレの部分ではなくて、人間的な部分に興味が湧いてくるわけです。
もちろん、彼の全てに共感できるわけではありませんが、共感できない部分であっても、「そういう考えをする人」ということがわかります。
そうすると、他の筋トレYouTuberにはあまり目が向かなくなります。
というのも、他の筋トレYouTuberは「筋トレメニュー」を紹介しているだけなのですが、ある程度のチャンネルをみると、何となく同じようなメニューを紹介していることに気がつくからです。
「この人(チャンネル)の筋トレじゃないといけない」という理由が見つからないんですね。
少し堅い言い方をすると、メトロンブログは人間臭さで他のチャンネルと差別化できている、ということでしょうか。
その証拠に、私は彼がおすすめするサプリメントや、彼がプロデュースするアパレルを買ったりしています。
このように、筋トレの効果を売っている、というよりかは、筋トレ”も”するひとりの人間を売っているのが、先ほどのある士業の方との違いだということです。
口コミになる
いまお話しした筋トレ動画に限らず、いまの世の中は同じようなモノがありふれています。
ですので、商品が良いのは当たり前、の世の中になっているんですね。
で、商品が良かったところで、その商品を買ってもらえるか、というと、それもまた別の話になります。
じゃあ、どこで差別化ができるかというと、それは商品の提供者、そのものではないでしょうか。
それができたら、口コミにもなります。
「あそこのラーメンは美味しい」に、「あそこのラーメン屋の店主は面白い」が加わるわけです。
もっといえば、モノと同じく情報も増えています。
何かの記事によると、現代人が目にする情報量は江戸時代の人の一年分、平安時代の人の一生分らしいです。
最近だと、ChatGPTやBardといった生成言語AIで、より簡単に情報を網羅的に収集できるようになりましたね。
そのように世の中に飛び交っている情報のなかで、あなたを見つけてもらう必要があります。
そのためには、商品の提供者の人間性(世界観や価値観)がキーポイントになってくるはずです。
商品そのものの価値を上げる
ここまでの話は、商品の提供者の人間臭い部分(世界観や価値観)で差別化する、という話でしたが、商品の自体の世界観や価値観で商品の価値が上がることもあります。
たとえば高級腕時計。
腕時計の性能というと、時間の正確性だったり、多機能性だったりするわけですが、高級時計時計ってそこだけで勝負していないですよね。
消費者は何で買うか、買わないかの判断をしている決かというと、時計メーカーの歴史やコンセプトだったりするわけです。
民間のパイロット用に開発された時計という歴史をもっているなら、パイロットだけではなく、パイロットに憧れている世の男性陣を虜にしますよね。
逆に、性能の部分だけで時計を買うならば、G-SHOCKで充分なはずです。
つまり、商品の性能や価格の向こう側にある、消費者の嗜好を刺激するものがあると、商品の価値が上がります。
最後になりますが、個人的には、値段が高い商品であればあるほど、商品の提供者や商品自体の世界観や価値観が、売れる・売れないのポイントになってくるのではないか、と思います。
というのも、値段が安い商品であれば、それらに目を向けるまでもなく購入できてしまうからです。
ダイソーにいって、ダイソーの世界観や価値観って気にしないですよね。
皆さんは、特に高い買い物をするとき、何が決め手になっていますか?