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【ゼロゼロ融資返済本格化】コロナ借換保証は使えるか?

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こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

2023年1月10日から始まった、コロナ借換保証制度。

本制度は、コロナ禍で借りた融資の返済負担を減らすための措置です。

本記事では、制度の概要を整理しつつ、適用を受けるにあたってのハードルを解説していきます。

※2023年8月現在、飲食店を中心にゼロゼロ融資返済の本格化で苦境に立たされている事業者が増えています。こちらの記事を参照ください。

目次

コロナ借換保証とは?

制度の趣旨と概要

コロナ借換保証とは、民間のゼロゼロ(実質無利子・無担保)融資を受けた中小企業の信用保証料を大幅に引き下げる制度です。

本制度は、2023年1月10日から開始しています。

制度の背景として、民間ゼロゼロ融資の返済開始が2023年7月~2024年4月にピークを迎える一方で、中小企業がまだコロナ禍の影響から回復しきれていない現状があります。

さらには物価高の影響があるので、その返済負担を減らしてあげよう、というお国の意図で本制度が整備されました。


本制度は、借換に伴う保証料の引き下げなので、形式上は既存の融資を一旦返済して、新たに借入する、ということになります。

借換の範囲は、

・民間ゼロゼロ融資からの借換
・他の保証付融資からの借換


と、範囲も広めです。

また、借換だけではなく、事業再構築等の前向きな投資への新たな資金需要にも対応しています。

要件(以下参照)売上または利益率が5%以上減少など
保証限度額1億円
保証期間10年以内
据置期間5年以内
金利金融機関所定
保証料(事業者負担)0.2%程度(補助前は0.85%程度)
その他・100%保証の融資は、100%保証での借り換えが可能
・経営行動計画書の作成
・金融機関の継続的な伴走支援

【注意】
本制度は、信用保証協会を経由した融資が対象です。
日本政策金融公庫で借りたコロナ融資は、本制度の借換とは別の公庫融資借換特例制度を検討することになります。

制度の要件

ここでは、自然災害や指定業種の特殊事情ではなく、一般の保証要件を記載します。

中小企業庁が公表している要件(こちら)も参照ください。

以下の7パターンのうち、いずれかに該当していればOKです。

  【売上高要件】

  1. 最近1か月の売上高vs前年同月の売上高→5%以上減

    【売上総利益率要件】
  2. 最近1か月の売上総利益率vs前年同月の売上総利益率→5%以上減
  3. 最近1か月の売上総利益率vs直近決算の売上総利益率→5%以上減
  4. 直近決算の売上総利益率vs直近決算の一期前決算の売上総利益率→5%以上減

    【営業利益率要件】
  5. 最近1か月の営業利益率vs前年同月の営業利益率→5%以上減
  6. 最近1か月の営業利益率vs直近決算の営業利益率→5%以上減
  7. 直近決算の営業利益率vs直近決算の一期前決算の営業利益率→5%以上減


上記のうち、決算期を使う要件については、3月決算であれば、

2023年1月単月vs2022年3月期決算はOK
2022年3月期決算vs2021年3月期決算はOK
2023年1月単月vs2021年3月期決算NG

ということになります(中小企業庁に確認済み)。

手続きの流れ

コロナ借換保証を受けるための手続きはある程度手間がかかります。

中小企業庁HP:https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sinyouhosyou/dl/karikae_gaiyo.pdf
  1. 中小企業(借主)は経営行動計画書を作成し、金融機関(貸主)に対して借換融資を申し込みます
  2. 金融機関は与信の審査を行います
  3. 金融機関を通じて、市区町村がセーフティネット保証上の認定を行います
  4. 金融機関を通じて、信用保証協会が保証の審査をします
  5. 金融機関、市区町村、信用保証協会の3つの機関の承認を得て、借換融資が実行されます
  6. 金融機関は中小企業に対して、継続的な伴走支援を行います

このように、手続きが煩雑であるため、本制度の申込を考えている事業者は早めに金融機関に相談されることをおススメします。

問題は経営行動計画書と金融機関の伴走支援

手続き要件のうち1つ目にある、経営行動計画書は、1枚のシートでありながら、中小企業にとっては自力で作成するのは、結構ハードルが高いのではと考えています。

定量的な(数字を使う)分析で一番難しそうなのは、
「4.計画終了時点における将来目標」のEBITDA(有利子負債倍率)の将来5か年数値の算出です。

右下に算式は書かれていますが、

・借入金の残高
・現預金の残高
・営業利益
・減価償却費

を事業者が5年分予測するのが可能なのか
、ということです。


EBITDA(有利子負債倍率)の算定の仕方についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。




また、定性的な(文章で書く)現状分析も、「2.現状認識」で記載する欄があります。

ここでは、いわゆるSWOT分析を行っていきますが、どれだけの質が求められるのかは、金融機関によっても異なってきます。

そして本制度は、金融機関にとっても負担が大きいものになります。

本制度のよる借換の相談にあたっては、本気度をお伝えし、金融機関の担当者を上手く巻き込んでいく必要があるのではないかと思います。

まとめ

個人的には、返済負担が苦しい中小企業にとっては有難い制度ではありつつ、金融機関側の立場を鑑みるとハードルの高い制度ではないかと思います。

とはいえ、本制度の申込審査が通らないくらいの財務状態になったあとに相談しても手遅れです

今後の返済計画や資金繰りの状況を早めに把握して、本制度の利用する必要性があるのかないのかは、明確にしておきたいところです。

もし、コロナ借換保証の情報をもっと知りたい、自社の状況で申請することは現実的なのかどうか分からない、という方がいらっしゃれば、下のLINEに登録してメッセージを送っていただければと思います。

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