【note】フリーランスのお金と暮らしの話

法人税申告書「別表七」を財務戦略に活かす

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「過去に赤字があれば利益と相殺して節税できる」というお話を聞かれた方もいらっしゃると思います。

それはそうですが、法人税申告書「別表七」の読み方がわかれば、より過去の赤字を活用できる幅は広がります。
今回は、その向き合い方と活用方法をお伝えしていきます。

分かり易いかは別として国税庁のHPに書き方が紹介されています(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2022/01.htm#a01)
目次

別表七とは?

別表七という書類は、法人税申告書の一部です。
したがって、税務署や金融機関に提出する書類の中に含まれてます。

なお、金融機関が法人税申告書をみるポイントについては別記事でご紹介しています。

別表七の役割

端的に言えば、別表七は直近10年間の赤字状況の一覧です。
したがって、一事業年度ずつ、赤字がいくら発生したかを把握することができます。

ここで分かりにくいのは、別表七で「赤字」という言葉が出てこないことです。
というのも、税法上は「赤字」を「赤字」ではなく「欠損金」という専門用語で統一しているからです。

しかもこの欠損金。
実は会計上の赤字の数値と一致しません。

詳しい説明は本論と外れるので省略しますが、法人税申告書では会計上の利益(損失)に、税務のルールに沿った調整金額を足したり引いたりして税務上の利益(損失)を算出しています。

だから両者は一致しません。
そしてこの税務上の損失が欠損金と呼ばれています。

欠損金を別表七で管理しているのは、過去10年間分の欠損金を繰り越して利益と相殺できるルールがあるからです。

たとえば、過去10年間は業績が悪く、毎年100万円の欠損金が発生していたが、最新の期では業績が急回復して1,000万円の利益が出たとします。

この場合に、別表七で10年間繰り越してきた100万円×10年=1,000万円と、最新の期の利益1,000万円を相殺することができます。
その結果、最新の期は1,000万円の利益が出ても法人税が発生しないことになります。
(仮に、繰り越してきた欠損金がなければ1,000万円×税率分の法人税を支払わなければいけません)

この過去の欠損金と利益を相殺するルールを担保するために、
別表七で、過去10年間で欠損金がいつ、いくら発生し、どの期の利益と相殺していくら残っているかを管理している、ということです。

別表七は全ての会社にあるのか?

別表七は全ての会社の法人税申告書に必ず添付されているわけではありません。
当然のことながら、業績が良く過去10年間欠損金が発生していなければ別表七の添付はありません。

また、欠損金を繰り越して将来の利益と相殺するルール自体、
青色申告の承認申請書を提出して青色申告を行っている法人のみ適用されるルールです。

ただ、顧問税理士さんがいらっしゃっる場合は、特段の理由がない限り青色申告をしていると思われます。
もし、自社が青色申告をしているかどうか心配な場合は、法人税申告書の別表一のこの部分↓でご確認いただけます。

別表七の活用方法

別表七は過去の欠損金の管理だけではなく、他にも活用方法があります。

銀行に客観的な業績説明ができる

「債務超過」だと、銀行からの評価はマイナスになり、融資は受けづらくなります。
この「債務超過」とは、決算書の貸借対照表の資産より負債が大きく、純資産がマイナスの状態を意味します。

純資産は会社のスタートから現在までどれくらい稼いでいるか、逆に損しているかの累積結果が表れています。
つまり、創業以来の赤字が黒字を上回っているとマイナスになります。

一方で、貸借対照表には累積結果が表れているだけであり、一事業年度ごとの数字はわかりません。

何が言いたいのかというと、極端な話、
仮に直近の決算でたまたま業績が悪く債務超過になったものの、それ以前はコンスタントに利益が出ていれば、

別表七を銀行担当者に見せることで、

「直近の業績悪化はたまたまであり、それ以前は継続的に利益が出ています」

という説明ができる、ということです。

銀行担当者からすれば、債務超過になった原因がわかり、社長からそれを解決できる具体的な戦略の説明があれば、安心材料になります。

積極的な利益目標が立てられる

繰り越して来た欠損金は将来の利益と相殺できます。
そのため、その繰り越した繰越金がいくらあるのかをしっかりと把握できていれば、利益目標を立てやすいということです。

念のためお伝えしておきますが、節税目的で欠損金の範囲内の利益目標を定めましょう、といいたいわけではありません。
会社にお金を残す一番の方法は、なるべく多くの利益を出すことが王道です。

むしろ、目線を変えれば積極的に利益を出す計画さえも立てられます。
その点を詳しく解説します。

欠損金は過去10年分を繰り越せるといいましたが、
逆説的にいうと、10年以上経つと使えない、つまり期限切れになってしまいます。

つまり、10年前の欠損金が残っていれば、少なくともそれ以上の利益目標を立てる理由になり得る、ということです。

過去の負の成績を将来のプラスに変えることができるチャンスともいえるでしょう。

まとめ

今回は法人税申告書のなかでもさらに専門的な内容をご紹介しました。
少しでも専門知識を身につけ、融資や利益計画といった財務戦略に役立てていきましょう。

別表七を活用することで、
・銀行に客観的な業績説明ができる
・積極的な利益目標が立てられる

◆編集後記

今日は全国的に雪警戒情報が出ています。
横浜もちらっと雪が降り始めています。

◆家トレ日記

BOOST ATHRETES
DAY5【この変速トレを知らずに大きい胸は作れない】4分30秒の徹底的に追い込む変速大胸筋トレ!!
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◆ 1day1new

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