経常運転資金は、必ず手元に用意しておかなければいけない資金であり、必要額を見誤ると資金繰りの問題に直結します。
そこで今回は、経常運転資金の計算にあたって注意しなければいけない点をお伝えしていきます。

計算式に当てはめればOKではない
経常運転資金とは、掛け売上、掛け仕入という、売上や仕入の「発生」と「入金・出金」のタイミングがずれる商慣習があるからこそ必要になる資金です。
その算式と、より詳細に説明している記事はこちらになります。
経常運転資金=売上債権(受取手形や売掛金)+ 棚卸資産(在庫)ー 仕入債務(支払手形や買掛金)

ご覧になってわかるとおり、算式自体はそこまで複雑ではありません。貸借対照表を読める方であれば比較的簡単に求めることができるかと思います。
ただし、その貸借対照表に記載されている数字が、本当に使える数字なのか、実態と乖離していないか、ということに注意が必要です。
何が言いたいのかというと、経常運転資金の計算にあたっては、あるべき必要額を可能な限り正確に算出することがキモだということです。
なぜなら、経常運転資金を自己資金で用意することができなければ、金融機関からの融資に頼らざるを得ないからです。金融機関に誤った必要額を提示してしまっては意味がありません。
ということで、ここからは具体的な注意点をお伝えしていきます。
ピークを反映しているか
計算式の売上債権や棚卸資産は、いわば現金化されるまで一時的に入金を待っているものです。
まず、この点で重要になってくるのは、その売上債権や棚卸資産に季節変動はないか、ということ。
たとえば、毎年12月に年間の半分以上を売り上げ、その2か月後に入金のあるビジネスをしている会社があるとします。
その会社が3月決算の場合に、5月頃に決算書をみながら経常運転資金を計算したらどうでしょうか。
年間で最も売上債権が発生するのは12月ですが、2か月後には入金されているため、3月末締めの決算書には12月に発生した売上債権は計上されません。
この条件のもとで、決算書に基づいて経常運転資金を計算すると、本当は12月~2月にかけて最も多くの経常運転資金が必要になるにも関わらず、その必要となる金額に遠く及ばない金額が算出されることになってしまいます。
その結果、12月~2月にかけて資金繰りが苦しくなるリスクが伴います。
また、この季節変動の注意点は棚卸資産にも当てはまります。
分かりやすい例でいうと、百貨店はお中元や年末商戦のために、その時期に向けて大量に在庫をストックしますよね。
その大量の在庫の発注には、その時期に見合った経常運転資金が必要なわけです。
ここで一点補足します。
いま説明した季節変動は、使う数字のタイミングの重要性を言っていますので、なにも季節による変動だけを考慮すればいいというわけでもありません。
たとえば、月の中旬が売上債権や在庫のピークであれば、毎月の試算表の数字を使って計算していても、必要な経常運転資金を計算することはできません。
なぜなら、毎月の試算表はあくまで月末時点の情報だからです。
要するに、売上債権や棚卸資産のピークの時期を把握したうえで計算に反映すべき、ということがお伝えしたいポイントになります。
実態と合っているか
次に注意したいのは、計算式の数字の中身です。
最初に紹介した計算式からだいぶ距離が遠くなったので再掲します。
経常運転資金=売上債権(受取手形や売掛金)+ 棚卸資産(在庫)ー 仕入債務(支払手形や買掛金)
中身というのは、売上債権に不良債権が混ざっていないか、棚卸調整に不良在庫が混ざっていないか、ということです。
ではなぜ、この点に留意すべきなのかというと、金融機関に適切な融資額を伝えるためです。
金融機関は経常運転資金の融資の審査にあたって、その計算のもととなった売上債権や棚卸資産に危ないものが含まれていないか、というチェックをします。
というのも、仮に企業が中身のない売上債権や棚卸資産を水増ししていたら、企業が回収できない資金を貸してしまうことになるからです。
それでは、具体的にどういう点に注意すべきなのか、ということをお伝えしていきます。
まずは売上債権から。
確認する点は、支払期日から結構な時間が経過しているにもかかわらず、代金の回収ができないまま放置しているような債権はないか?ということです。
こういった不良債権が含まれていた場合、売上台帳などでバレてしまいますので、除外して計算しなければいけません。
また、不良債権だけではなく、架空債権があれば金融機関の目はさらに厳しくなります。
架空債権とは、売上が発生していないのも関わらず、業績を良くみせようとしてウソの売上を計上したときの、そのウソの売上に対応する売上債権です。
これもすぐに金融機関にバレますので事前に修正するか、申告しましょう。
そして、これらの売上債権に係る注意点は棚卸資産にも当てはまります。
売れる見込みのない不良在庫や、実際には存在しない架空在庫が決算書や試算表に混ざっていれば除外して計算しないと、適切な融資は受けられないことになります。
増加運転資金はないか
ここまでは、どちらかというと過去や現在の数字に関わる注意点でした。
最後にお伝えしたいのは、将来の数字に関わる注意点です。
具体的には、今後大型の新規の発注あり、売上の増加が決まっているケースを想定してもらえると分かりやすいかと思います。
こういったケースでは、事前に在庫を大量を仕入れたり、多額の売上が先行計上され代金回収が後になったりすることが考えられます。
そうすると、増加した売上分の入金までにタイムラグがあるので、その期間中は別途資金が必要になってきます。
このように、通常の運転資金(=経常運転資金)に対して、売上の増加の過程で追加的に必要になる運転資金を増加運転資金といいまます。
ですので、売上の増加が想定される場合は、事前に融資が必要かどうかを検討しましょう。もし、融資が手遅れになれば黒字倒産ということも避けられなくなってしまうかもしれません。
まとめ
資金繰り対策には、経常運転資金をいかに正確に把握できているかが重要なポイントになります。
貸借対照表の数字を鵜呑みにせず、実態と乖離していないかを確認できると、金融機関の審査も通りやすくなります。
◆編集後記
明日は朝8時からメキシコ戦ですが、ちょうど祝日ですね。
思いっきり応援できます。
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