【note】フリーランスのお金と暮らしの話

「儲かっているかどうか」を資金繰り表で確認する方法

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こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

経営者であれば、自社のビジネスが「儲かっているのか、いないのか」は常に気にすることだと思います。

そして、この悩みはお客様が増えていようが減っていようが、どんなときでも付きまといます。

実際のところ、「商品は売れるけれども、儲かっているか、いないのかよく分からない」という事業者の方はいらっしゃいます。

なぜか手元に現金がない状態です。


この点で、そもそも「儲かっている」状態が、どういう状態なのか腹落ちできていない方もお見かけします。

基準がなければ判断のしようがありません。

そこで今回は、「儲かっている」状態をしっかりと定義して、それを確認する方法をお伝えしていきます。

お金の計算は大事
目次

「儲かっている」とはどういう状態か

まずは、この記事での「儲かっている」状態を簡潔に定義しておきます。

それは、お金が増えている状態を指します。

「儲かっている」にもいろいろある

とはいえ、「儲かっている」と判断できる基準は様々あります。

たとえば、損益計算書の一番最後に書かれている税引後当期純利益がプラスだったら、一年の営業活動を通じて利益が出ていることになるので、「儲かっている」といえます。

また、貸借対照表の繰越利益剰余金がプラスだったら、創業から現在までの期間をトータルでみて「儲かっている」といえるでしょう。

これらに加えて、社員の給与水準を上げることができたり、新しい社屋を建てることができたり、といった目に見える成果で「儲かっている」と感じる場面もあると思います。

ですが、このように様々な基準があるがゆえに、逆に自社が「儲かっている」かどうかが判然としていない会社さんも見受けられます。

ここが曖昧だと、儲かっていないのに儲かっていると錯覚していたり、儲かっているのに儲かっていないと錯覚したりするかもしれません。

無理に判断の基準をひとつに絞る必要はありませんが、自分なりの答えは持っておきましょう。

この記事での「儲かっている」状態

繰り返しになりますがこの記事では、「儲かっている」状態を、お金が増えている状態とします。

1年前でも1ヶ月前でもいいのですが、過去と現在を比較してお金の残高が増えていれば、儲かっているとします。

というのも、究極的にはお金が増えていれば会社が潰れることはないからです。

逆に、利益が出ていても潰れることがあります。

利益が出ているけれどもお金が手元になく、倒産してしまうのは黒字倒産と言われています。

たとえば、売上は上がっている一方で、得意先の倒産で売上債権が回収できなくなり、自社が資金ショートする可能性はあります。

あとは、自社の損益上は黒字でも、その黒字の金額では借入の返済を賄えなくて倒産してしまうケースもあります。

最近の動向でいうと、コロナ融資の返済で苦しんでいる事業者の方です。

では、お金が増えている状態を確認するにはどうすればいいのか、ということを次からお話ししていきます。

資金繰り表で確認しよう

お金が増えているかどうかは、資金繰り表で確認することをおすすめします。

資金繰り表でお金の増減要因を確認

ここからは、資金繰り表でお金の増減を確認する方法をお伝えします。

ちなみに、各事業年度の貸借対照表の現預金の金額を比較することでもお金が増えているかどうかは確認できます。

ですが、その方法だとお金の増減の要因がわかりません。

具体的にいうと、融資を受けたことによる増加分がいくらあるのか、本業で稼いだことによる増加分がいくらあるのか、という内訳は確認できないということです。

この点で、資金繰り表はお金の増減の要因がわかるような構造になっています。


まずは増減要因を無視して全体でみていきいます。

一番上の「月初繰越高」と一番下の「次月繰越残高」を比較して、後者の方が大きければその差額分のお金が増えていることになります。

したがって、たとえば4月の「月初繰越高」と翌3月の「次月繰越残高」を比べて後者のほうが大きければ、一年間を通して手持ちの現金が増えたということを意味します。

ただ、先ほどお伝えしたとおり、融資を受けている場合は、融資で増えたお金なのか、本業で稼いで増えたお金なのかをはっきりさせておかなければいけません

たとえば、一年間で900万円現金が増えたけれども、実は1,000万円の融資を受けていてその期間中の返済がなかった場合はどうでしょうか。

この場合、現預金は1,000万増えているはずにもかかわらず、900万円しか増えていないとなると、本業(若しくは設備投資)で100万円分の資金が流出している、ということになります。

これが、この項の最初でお伝えした貸借対照表の過去比較だと、現金が900万円増えたということしかわかりません。

一方で資金繰り表だと、本業の儲けは経常収支、資金調達と返済は財務収支に分かれているので、増減の内訳を確認することができるというわけです。

理想は経常収支が設備収支と財務収支を上回っている状態

資金繰り表において、儲かっている状態=お金が増えている状態の理想形は、経常収支が設備収支と財務収支を上回っている状態です。

経常収支とは本業で稼いだお金の増減です。

収入と支出の差額であり、商品やサービスを売って儲けた成果ともいえます。

設備収支とは、事業に使っている設備を売って入ってきたお金と、これから事業で使う設備を買って払ったお金の差額です。

財務収支とは、融資を受けて入ってきたお金と、返済で払ったお金の差額です。


とここで、仮に財務収支の支出部分である借入返済が経常収支を上回っていたらどうでしょうか。

下の資金繰り表でいうと、①>②であるケースです。


この場合、自社の力で得た成果が他人(金融機関)に吸い取られていってしまうことになります。

たとえば、経常収支が年間プラス1,000万円であっても、財務収支が年間マイナス1,200万円であれば、本業で稼いだお金は自社の手元に残らず、さらには200万円は自己資金が削られることになります。

この例は財務収支が設備収支であっても同じです。

なので、自社のビジネスにおいて自力で儲かっている状態になるためには、経常収支が設備収支と財務収支を上回っているのを目指すことが大切になります。

まとめ

お金が本当の意味で増えているかどうかを確認するには資金繰り表の作成が有効です。

まだ自社に導入されていない場合は、これを機会にトライしてみてはいかがでしょうか。

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