適正な在庫量を測る指標として、在庫回転数と在庫回転期間があります。
いまいち両方の意味がピンと来ていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、私もそうでした。
今回は、なぜ在庫は持たない方が良いと言われるのかと、これらの指標を経営判断に活用する方法をお伝えします。
在庫は少ないほうが良い?
在庫とは、材料や商品を仕入れたまま、まだ売上にはなっていない状態のものをいいます。
製造業であれば、原材料→仕掛品→製品→販売(売上)と製造工程が進んでいきますが、製品までの段階は在庫の状態です。
小売業であれば、商品の仕入れ→倉庫→店頭→販売(売上)と進みますが、店頭にあるまでは在庫の状態です。
一般的に、在庫に関してはこのような声が聞かれます。
「在庫はなるべく持たないほうが良い。」
これは事実であり、在庫を多く抱えることは、「経営」へマイナスの影響を与えます。
この点で、品揃えを豊富にするためにわざと在庫を抱えている事業者さんもいらっしゃいます。
しかし、それはごく一部の「顧客やお客様」のメリットになる可能性があるものであり、一般的な業種においては「経営」へのデメリットのほうが大きいといえます。
次から、その理由を説明していきます。
資金繰りにマイナス(コストがかかる)
在庫が「経営」へマイナスの影響となる一番の理由は、資金繰りに悪さをするからです。
上述した材料や商品の流れに沿って想像してみていただけると分かり易いかと思います。
在庫を仕入れるということは、資金が出るということです。
売上になるということは、その資金を利益を付けて回収するということです。
つまり、お客様に対して販売しない限り資金は流出したまま、ということを意味します。
在庫が溜まる=(一時的な)資金の流出が増え続けている、ということです。
次に、在庫に関わる支出は、仕入れだけではありません。
在庫があれば、それを保管するための場所代、管理するための人件費やシステム管理費、水道光熱費がかかります。
加えて、製造業の現場では、在庫の置き場がなく作業場に置いた結果、動線が悪くなり間接的に生産性が落ちてしまうケースも見受けられます。
つまり、在庫にはランニングコストがかかる、ということです。
以上より、在庫は資金の流れと利益にダブルパンチで悪影響を及ぼすということが分かります。
融資でマイナス評価になる
金融機関は決算書に記載がある在庫(科目名いうと、商品、製品、仕掛品、材料など)に懐疑的な見方をします。
というのも、金融機関は企業から提出された決算書を、独自に修正しています。
この点ついては別記事で紹介していますので、ご参照ください。
端的にいうと、金融機関が警戒しているのは、架空在庫や不良在庫の存在です。
売れないもの、若しくは、売れる可能性が極めて低いものは「資産」ではないと考えています。
言い換えれば、先ほど在庫を(一時的な)資金の流出と表現しましたが、売れない在庫分は、一時的ではなく永久的に回収できない資金の流出だと判断されてしまうということです。
そして、金融機関が決算書を修正した結果、決算書上は「資産超過」になっていたが、実際は「債務超過」ということもあり得ます。
また、例え架空在庫や不良在庫ではなくても、在庫の大きさは経常運転資金の増加につながります。
経常運転資金の考え方については、別記事をご参照ください。
これは、金融機関から借りなければならないお金が膨らむ、ということに繋がります。
在庫の回転状況から最適を把握
そうは言っても、商品を販売するうえで、在庫が手元になければ販売や製造自体できません。
この点で、自社にとって最適な在庫残高の判断基準が必要になります。
その判断基準として、次の指標があります。
今回は、一か月間の在庫の状況が図のようになっていると仮定します。
①月初の在庫残高が400円あり、
②一か月の間に3,200円分仕入れ、
③3,000円分売れ、
④月末に500円残った
というケースです。
在庫回転率
在庫回転率とは、ある一定の期間中に売上を上げるために在庫が何回転したか、を示す指標です。
在庫回転率=期中売上原価÷期間平均在庫金額
期間平均在庫金額は、スタート時点の残高と終了時点の残高の平均をとります。
今回の例でいえば、(月初残高400円+月末残高600円)÷2=500円ということになります。
したがって、在庫回転率=3,000円÷500円=6回転、
つまり、一か月の間に在庫を仕入れて販売するという流れが6回転した、ということを意味します。
在庫回転期間
在庫回転期間は、在庫が何日分の出荷(売上原価)相当分あるか、を示す指標です。
在庫回転期間=期中平均在庫金額÷期中売上原価×30日(365日)
算式の一番最後は、一か月間の数字でみるなら30日、一年間の数字でみるなら365日を使います。
したがって、今回の例でいえば、在庫回転期間=500円÷3,000円×30日=4.99…→5日間ということになります。
なぜこの算式で在庫回転期間が算出されるのかが、少し分かりにくいかもしれません。
そういう場合は、以下のように算式を置き換えてもよいかと思います。
在庫回転期間=期中平均在庫金額÷(期中売上原価÷30日(365日))
ポイントは、後半のカッコ内で、一日あたりの売上原価を算出しているところです。
期中の平均在庫金額を一日あたりの売上原価で割ると、平均の在庫が何日分の売上原価に相当するかがわかります。
当然のことながら、どちらの算式でも結果は同じです。
回転率と回転期間をまとめると
在庫回転率と在庫回転期間を合わせると、期間中に在庫が何回入れ替わり、何日分の余裕があったかがわかります。
今回の例に置き換えると、
在庫回転率と在庫回転期間の順番が逆になりますが、
5日分の在庫を持ちながら、在庫が6回入れ替わった、ということになります。
最適な在庫残高の判断基準の考え方
在庫回転率と在庫回転期間が分かったら、それが良いのか悪いのかの判断をしなければいけません。
その判断基準を今回の例で考えると、
・仕入れてから5日間資金は回収できないが、資金繰りは大丈夫か
・在庫切れにならないように、5日間ごとにちゃんと仕入れることができるのか
・5日間経ったら売り物にならないことはないか
が判断基準になります。
したがって、資金繰り表や在庫管理表と照らし合わせながら検討が必要ということです。
まとめ
売れ残っている在庫があれば、自社の在庫状況を見える化して、経営を圧迫していないかチェックすることをおススメします。
在庫回転率と在庫回転期間を合わせると、最適な在庫量の判断基準が明確になる
◆編集後記
昨日は食料の買い出しで15.8kgの荷物を持ちながら、
15分歩きました。
さすがに下半身にも効きました。
◆家トレ日記
BOOST ATHRETES
【胸を大きくする】3分20秒の腕立て伏せ大胸筋トレーニング
https://www.youtube.com/watch?v=rQ42YsKf7FQ&t=290s
◆ 1day1new
みかん缶
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