ビジョンは、いま実現していないけれども、将来実現すべき目標です。そして、会社経営でビジョンを実現させようとするときに確実に必要になるのはお金。
今回は、ビジョンとお金の関係についてお話ししていきます。
ビジョン実現にはお金がいる
ビジョンの定義はこれまで何度かお伝えしてきましたが、わかりやすさ重視で再掲します。
ビジョン(目標):
中期的(3年~5年)な企業の目標や理想の姿。売上や店舗数など定量的に表されることが多い。ミッションが、経営者の一生をかけた事業の目的であるのに対し、ビジョンはその過程にあるもの。
「定量的で表されることが多い」と記載があるとおり、ビジョンと数字は密接な関係にあります。というのも、数字で実現すべき姿を表現したほうがゴールがイメージしやすくなるからです。
そして、資本主義社会での会社経営でビジョンを実現するためにはお金が必要になります。ですので、ビジョンと財務は切っても切れない関係にあるということです。
この話を会社経営ではなく、登山に置き換えて考えてみます。
シンプルな話で、3,000メートルの山頂に到達するためには体力(エネルギー)が必要です。
体力(エネルギー)がなかったら体を動かすことはできませんよね。山頂から眺める景色がどれだけ素晴らしいか分かっていても、到達できなけれその感動を味わうことはできません。
この山頂への到達がビジョン実現であり、体力(エネルギー)がお金になります。そして、このお金をどうやって作っていくか、というのが財務の役割です。
では、ビジョン実現のためにお金を無限にかけられるのか、というとそうではありませんよね。仕入や人件費や家賃といった経費を払わなければ会社は運営できないので、限度があります。
ということは、その限度がどれくらいあるか、ということは知っておいたほうがいいはずです。
ビジョン実現の原資はココ!
この限度となるお金は、ビジョンを実現するための原資、とも言い換えられます。
この原資を貸借対照表や損益計算書から読み取ることができればいいのですが、これらの書類は税理士や銀行担当者といった、いわば会計専門家向けの書類です。
そこで、今回はお金のブロックパズル、という会計専門家以外の人でも会社の財務の構造がわかる図を使って説明していきます。
なお、お金のブロックパズルは、西順一郎氏が著書「戦略会計STRACⅡ」で紹介するSTRAC表(現・MQ会計表)をベースに、和仁達也氏が考案したものです。
この図を簡単に説明すると、
- 売上があり
- そこから変動費(商品や原材料の仕入れや外注費)を支払い
- 売上から変動費を引いた金額が粗利になり
- 粗利から人件費とその他固定費(地代家賃、広告宣伝費、税理士報酬など)を支払い
- 粗利から固定費を引いた金額が利益になり
- 利益から約3割税金を払い
- 残った税引後利益に減価償却費(お金の支出を伴わない費用)を足し戻し
- そこから銀行への返済と設備投資の支払いをし
- 最終的に残るのが繰越金
ということを表しています。
この図をみていただいてわかるとおり、繰越金までに払う費用は、いま会社を運営するために必要な費用です。
つまり、ビジョン実現のための原資は最後の繰越金まで出てこない、いうことです。
この繰越金が大きくなればなるほど、ビジョン実現の可能性は大きくなりますし、逆に繰越金が小さくなればなるほど、ビジョン実現の可能性は低くなる、といえます。
ですので、自社の繰越金がどれくらい発生しているのか、を確認するためにも、この図の各ブロックに自社の数字を当てはめてみることをおすすめします。
このお金のブロックパズルの使い方をもっと知りたい、という方は、こちらから資料をダウンロードできます。
ビジョンがなければ数値目標は立てられない
ここまでで、ビジョン実現と財務は密接な関係にあること、そして、会社の財務構造をお伝えしました。
今回最後にお伝えしたいのは、ビジョンが確立されていないと数値目標を決めることは難しい、ということです。というのも、図をみていただいてわかるとおり、繰越金がいくら必要か、によって目標の売上や利益が変わってくるからです。
だからこそ、ビジョンはできるだけ具体的に定める必要があるのです。冒頭のビジョンの定義で、「売上や店舗数など定量的に表されることが多い」と説明しましたが、それはなるべくビジョンに具体性を持たせるためでもあります。
そして、ビジョンは達成時期とどれだけの数字を達成するのか、の2点を決めておくとよいでしょう。例えば、3年後に売上30億円、というようなイメージです。
その結果、繰越金が上の図のように1ではなく、3が必要であればそれなりの売上目標や利益目標が必要になります。
ただ、それには現状の各ブロックの数字がどういうバランスになっているか、ということを知っておく必要があるので、やはり一度各ブロックに自社の数字を当てはめてみると良いでしょう。
まとめ
今回は、経営理念のひとつであるビジョンを実現するための財務的な視点の話をしてきました。
まずはビジョンを明確にし、それを実現するための財務戦略を練っていくことをおすすめまします。
・ビジョン実現と財務は切っても切れない関係にある
・ビジョン実現のための原資はお金のブロックパズルでいうと、繰越金
・ビジョンがなければ繰越金が決められないため数値目標も決められない
◆編集後記
今年のゴールデンウィークは賑わっていますね。
近所歩いているだけでもそう感じます。
◆家トレ日記
BOOST ATHLETES
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◆ 1day1new
ベリーミックス