経営理念のうち、ビジョンは将来達成すべき目標です。この点で、いつの時点の目標を設定すればいいのか、ということに悩む方も多いのではないでしょうか。
ということで、今回はその時点の決め方についてお伝えしていきます。
ビジョン策定の進め方
ビジョンはいわば企業の目標ですので、時系列でいうと将来(未来)に視点を置いて言語化するものです。その未来をいつの未来にするか、というのが今回メインテーマになります。
このメインテーマの話をする前に、ビジョン策定の進め方を簡単にご紹介します。
まずは、白紙を用意して、今できていないけれども、将来成し遂げたいことを書き出してみてください。このときは、できるだけ数多くアウトプットすることがポイントです。
ある意味、数が勝負ですので、「できる」「できない」の判断は後回しにして、思いついた欲求をそのまま書くことをおすすめします。
次に、出てきた欲求を分類します。その分類とは、
・自分が得られる有形のもの(欲しい車を買う)
・自分が得られる無形のもの(自分が有名になる)
・他者が得られる有形のもの(社員が働きやすい事務所にする)
・他者が得られる無形のもの(社員の幸福度を上げる)
の4種類です。かっこ書きはそれぞれの例ですので、イメージとして参考にしていただければと。
そして、4種類に分類したあとに、各分類を眺めてみて書き足りないものがあれば書き足してください。ここまでで、将来達成したい目標に紐づく思考の棚卸しができます。
あとは、書き出したものがいつの時点で達成したい目標なのかを、●●年後ごとに分類してみてください。たとえば、1年後、3年後、5年後、10年後の枠を設けて、各枠に分類していくイメージです。
いかがでしょうか。ビジョンを最終的に言語化するまでの工程はまだ続きがありますが、ここまでくれば目標とそれぞれの達成時期を整理することができます。
ビジョンの時点の決め方
では、アウトプットできた目標が数ある中で、どの時点の目標を軸にビジョンを考えていけば良いのか。
絶対的な正解はありませんが、次のような着眼点が考えられます。
数の多さ
単純に、達成したい目標が一番多く集まっている時点をビジョンの達成時期とする方法です。数が多く集まっているということは、無意識的にその時期が経営のターニングポイントだと位置づけている可能性はじゅうぶんあります。
数が多ければそれだけビジョンを言語化するときの素材も多くなりますので、言語化がしやすいというメリットがあります。
あとは、数があるだけ、さまざまな種類の目標が含まれている、ということになります。ここでいう種類とは、先ほど分類していただいた4種類のことです。
この点で、自分だけではなく、他者が得られる目標も含まれていると、より応援されやすいビジョンが言語化しやすくなるため、そういったメリットもあるでしょう。
質の高さ
列挙した成し遂げたい目標のなかにも、絶対達成したいのか、できれば達成したいのか、という優劣があるはずです。
この場合、ビジョン策定においては、より具体的でモチベーションが高いビジョンにするために、優先順位が高い目標を中心にして進める、という考え方があります。
たとえば、絶対外せない目標が3年後に控えているならば、3年後をビジョン策定の軸にする、ということです。
この点で、もし、優劣が決められないくらい達成へのモチベーションが高い目標が複数あり、別の時点に散らばっていたらどうするか。この場合は、まずは、さきに達成したい時期が到来する目標を軸にビジョンを策定していけば良いでしょう。
なぜなら、ビジョンは達成して変わるものだからです。さきに達成したい目標が達成できれば、その都度ビジョンをアップデートして次の重要な目標の達成に向かっていくことになります。
重要なイベントとの関係
重要なイベントの前までに達成すべきビジョンなのか、その後に達成すべきビジョンなのか、という視点でビジョンの設定時期を決めるというやり方があります。
この重要なイベントで代表的なのは、事業承継です。
たとえば、現経営者が事業承継前の自分の時代に達成したいと思っている目標があれば、それをビジョンの軸にすることができます。
対して、後継者が事業承継後●年以内に達成したいと思っている目標があれば、それをビジョンの軸にすることができます。
ただ、事業承継がある程度確定している時期でのビジョン策定では、基本的に後継者の想いを主軸に考えていくことをおすすめします。なぜなら、ビジョンを実現する未来に責任を負っているのは後継者だからです。
この点については別記事で書いているのでご参考までに。
事業承継以外にも、たとえば創業●●年までに達成したい目標や、経営者が●●歳までに達成したい目標があれば、これをビジョンの軸にすることも考えられます。
まとめ
今回は、ビジョン策定にあたっての、その時点の決め方をお伝えしてきました。
これからビジョン策定を考えている経営者の方の参考になれば幸いです。
◆編集後記
暑いですね。
書斎は北側に位置していて冬は極寒なのですが、この時期は涼しくて過ごしやすいです。
◆家トレ日記
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