こんにちは、島田(つぶやきはこちら)です
今回のテーマは「税理士っていつから探し始めればいいの?」です。
歯科医院を開業する方はおそらく9割方、顧問税理士を探すことになります。
親族や知り合いに税理士がいて確定済みなのであれば別ですが、それはどちらかというとレアケースなのではないかと(ちなみに親族や知り合いに顧問税理士をお願いするのはトラブルが増えるのでお勧めしていません)。
島田の答えは、「遅くとも開業予定日6ヶ月〜7ヶ月前までには決めておきましょう」です。
ポジショントークに聞こえることは承知しています。
でも、実際に複数の歯科開業案件に関わるなかで、税理士をつけるタイミングが遅れたことで融資やリースの審査にロスが生じたり、事業計画書の完成度が低かったりするケースを何度も目にしてきました。
そこでこの記事では「なぜ遅くとも開業6〜7ヶ月前には税理士を決めておくべきなのか」を、3つの理由と一緒に整理しています。
結論:税理士は「銀行融資の検討を始める前」に決める
既にお伝えしたとおり、歯科開業の準備における税理士選びのリミットは、開業予定日から逆算して6〜7ヶ月前です。
なぜこのタイミングなのか。
それは「銀行融資で失敗しないかどうか」と深く連動しているからです。
実際に、融資が同じ金融機関で地域も近隣、開業時期も数ヶ月違いの医院で、島田が融資前から関わっていたか否かで、返済期間や利率の条件が違う結果になりました(それだけではない要因もありますが)。
いずれにしろ、融資のプロセスが始まる前に税理士が決まっていることが、のちのちの医院の資金繰りにも大きく影響します。
理由①:税理士が作る事業計画書は「目的が違う」
歯科開業の準備を進めると、ディーラーさんやメーカーさんから事業計画書を作ってもらえる機会があります。
ただ、一つ意識しておいてほしいのは、その目的は医療機器を導入してもらうことだということです(それも非常に大切なことなので批判しているわけではなく)。
彼らが作る事業計画書は、機器の導入を前提に融資額を設計することが中心になります。
これは融資を通すためには有効な資料になりますが、「開業後に本当に生き残れるか」という観点の計画になっているかどうかは別の話です。
税理士の目的は事業を継続させることです。
税理士が作る事業計画書には、融資のためのシナリオだけでなく、開業直後の現実的な資金繰りが反映されます。具体的には、こういった視点が加わります。
- 開業後6ヶ月〜1年間、患者数が少ない時期の月次キャッシュフロー
- 勤務医時代には天引きされていた所得税の予定納税・住民税の普通徴収
- 院長自身と家族の生活費
特に勤務時代の税金と生活費は見落とされがちです。
開業後は医院のお金と自分の生活費が連動していることを改めて認識しておく必要があります。
「医院の売上は上がっているのに、手元に現金が残らない」という事態を防ぐためにも、生活費まで踏まえた事業計画書をあらかじめ作っておくことが大切です。
融資を通すための事業計画書と、開業後の経営をするための事業計画書は、同じ書類でも役割が違います。
開業前の段階から税理士が関わることで、両方の役割を果たす計画書を作ることができます。
理由②:融資審査で「税理士がいるかどうか」は確認される
これは経験則ですが、銀行の担当者から「顧問税理士さんはもう決まっていますか?」と聞かれる場面は多いです。
「決まっていないとダメ」というルールがあるわけではありません。ただ、決まっているかどうかで、銀行側の印象は変わります。
早い段階で税理士が決まっているということは、それだけ開業に向けた準備が整っていて、本気度が伝わります。逆に「まだ決めていません」という状態では、足元を見られやすくなるのも事実です。
さらに実務的な話をすると、融資審査の途中で「この点は税理士さんに確認してください」と言われる場面が少なくありません。信用情報、資金繰り計画の根拠、売上の前提条件など、専門的な確認が必要な局面は必ず出てきます。
僕も実際、融資プランの提案段階で、銀行の支店長からヒアリングを受けます。
この医院の差別化のポイントはどこか、他の医院と比較して非現実的な数字はないかどうかなどをよく聞かれるのが現状です。
このとき、すでに顧問税理士が決まっていれば、すぐに動いて回答することができます。不足書類への対応もスムーズになります。結果として、審査のスピードが上がります。
税理士がいないと、この問い合わせへの対応が後手に回り、審査の開始自体が遅れるということも起こり得ます。
「銀行と交渉する前に陣営を整えておく」という感覚で、税理士を決めておくことをおすすめします。
理由③:融資条件は「今の相場」で判断しなければならない
開業を検討している先生方の多くは、先輩開業医から「自分の開業のときはこうだった」という話を聞いているかと思います。
ただし、その情報には一つの落とし穴があります。
それは開業条件が違えば、融資の条件は変わってくるいうことです。
例えば利率ひとつ取っても、数年前の基準と今の基準は同じではありません。
医療機器の値段が上がり続けているように、金利も上昇傾向にあります。先輩から「その金利は高い」と言われても、今の市況ではその水準が標準ということはあり得ます。
むしろ昔の基準で今の条件を評価するのは危険です。
というのも「先輩のときの利率は何%だった」と下手に交渉したりすると、金融機関から駄々を捏ねていると見られてしまう可能性があるからです。
あとは、開業予定者の財産状況によって、自己資金をいくら入れるべきかは変わってきます。結果として融資条件にも影響します。
しかも先輩開業医さんと貯蓄額や家族構成が同じなはずはないので、その辺りは税理士と状況共有のうえで交渉する必要があります。
また、融資条件は地域によっても大きく異なります。
地域の歯科医師会や保険協会と連携協定を結んでいる金融機関が存在することがあります。こういった機関を使えると、より有利な条件で融資を受けられる可能性があります。
金融機関選びに関してはこちらの記事も参考にしてください。

「税理士選び」が遅れることで起きる損失
逆説的にはなりますが、税理士を決めるのが遅れた場合に起きやすいことを整理しておきます。
融資審査の開始が遅れる
顧問税理士が決まっていない状態で銀行に行くと、担当者に本気度が伝わらないだけでなく、途中の問い合わせへの対応に時間がかかります。
審査開始が遅れると、融資着金のタイミングが後ろにずれ、業者の着工や機材の搬入も予定より後ろにずれることになりかねません。
最悪の場合は開業日そのものに影響が出ます。
事業計画書が「融資用」だけになってしまう
ディーラーが用意した事業計画書のみで開業準備が進むと、融資は通ったとしても「開業後のリアルな資金管理ツール」としての計画書が手元にない状態になります。
開業後に「思ったよりお金が出ていく」と気づいてからでは、打てる手が限られます。
このケースで開業直後お金に苦しむ医院さんはたくさんあります。
地域の最新融資情報を活用できない
地域特性を踏まえた融資先の情報収集が難しくなります。
より良い条件の融資先があったとしても、情報を持っている人に接触しないと情報は降りてこないのです。
よくある質問
次は税理士を探している開業予定歯科医師さんから受ける(受けそうな)質問と、僕なりの答えをお伝えします。
Q1. 歯科専門の税理士じゃないとダメですか?
歯科専門である必要はありません。歯科専門でなくても優秀な税理士は世の中にたくさんいますので。
ただし、以下のことを求めるなら、歯科に詳しい税理士を選んだほうが確実です。
- 歯科ならではの開業融資の事情や交渉のポイント
- 歯科医療ならではの専門用語の理解
- 保険診療・自費診療の収益構造、医療機器・材料コストや人件費など歯科特有の経営数字の見方
- 医療法や薬機法が経営判断に与える影響
- 歯科に詳しい他士業(社会保険労務士、弁護士など)との連携
「税務申告をきちっとできればいい」という要望なら専門特化は必須ではありません。
が、税務申告以外の相談もしたいなら、歯科の現場感を持っている税理士の方が話が早いのは確かです。
Q2. 税理士費用の相場はいくらですか?
明確な業界相場というものはありません。税理士報酬は自由化されているため、事務所ごとに料金体系が異なります。
参考までに、島田の顧問報酬についてはこちらのページでご確認いただけます。
(自分で言うのも変ですが)安くもなく、高くもない水準だと認識していただければと思います。

一応、費用を比較するときに意識してほしいのは、「月額顧問料だけで比べない」ということです。
顧問料が安くても、決算料・申告料・融資サポート料などが別途かかる体系になっている場合がありますので。
トータルで年間いくらになるかを確認していただければと思います。
Q3. 税理士はどうやって探せばいいですか?
ディーラーさんや知人からの紹介、インターネット検索がメインになるかと思います。まずは手をつけやすいところから声をかけてみていいです。
ただし、即決だけはしないでください。
税理士とは、自分の財産状況をすべて開示する相手です。
赤字も、失敗した投資も、家族・親族の情報も、全部バレます。
しかも最低でも月に一度は話す関係が、これから何年も続きます。
そんな相手を、紹介されたからという理由だけでその場で決めていいのか、ということです。
どんな思想や価値観を持っているのか、クライアントとどんな関わり方をする人なのか。
契約前にそのあたりをある程度吟味してください。
紹介であれ検索であれ、一度会っただけで決めず、じっくり情報収集することを強くおすすめします。
僕のプロフィールはこちらにあるので、ぜひ合わせて読んでみていただければ嬉しいです。

まとめ:税理士は「準備の一員」として早めに決める
歯科開業の準備は、融資・工事・採用・各種届出など、多くの専門家が関わります。税理士もその一員です。
開業後に「記帳を依頼する人」として税理士を探すのと、「開業前から一緒に作る人」として税理士を考えるのでは、スタートラインがまったく違います。
どちらでもいいのです。
どちらでもいいのですが、後者のほうがいいのなら、遅くとも開業予定日の6〜7ヶ月前、銀行へのアプローチを始める前には税理士を決めておく。これが、資金繰りの苦しい開業初期を乗り越えるための土台になります。
開業に向けて税理士を探している方や事業計画書の内容に不安を感じている方は、LINEからお気軽にご相談ください。


